ドウェイン・ウェイド

「バスケじゃ37歳は年寄りだけど、一般の世界ではまだまだ若い」

2003年にドラフト指名を受けてから3度のNBA優勝、オールスターに12回選ばれ、得点王やファイナルMVPと栄光に満ちたキャリアを築いたドウェイン・ウェイドは、2019年に現役を引退した。そのウェイドが『USA TODAY』の取材に応じ、引退後の生活について語っている。

「僕が5歳でバスケを始めて、バスケを極めるところまで行った」と言う彼は、16年のNBAキャリアを終えた後の生活に恐怖を感じていたという。バスケを十分にやりきったと感じたウェイドは、長年の不妊治療の末に子供を授かったのを機に、家族と過ごす時間を優先するために引退を決断した。

しかし、バスケに情熱を注ぎ続けた人生であり、富も名声も、人間関係もバスケの成功で手に入れたものだ。大きな拠りどころを失うのだから、恐怖を感じるのも無理はない。

そこで彼は、バスケ選手だった自分に区切りを付けるために、キャリアを総括することにした。その方法は、自らのキャリアをまとめる写真集を作ることだ。「写真集のタイトルは『ドウェイン』にした。人生の次の段階に移るわけだから、僕はもう『D-Wade』でも『フラッシュ』でもない。16年のキャリアを写真でまとめ、ストーリーを伝えたいと思った。文章を書いたこともあるけど、ビジュアルの方が分かりやすい。応援してくれたファンや僕の大切な人たちに、僕のキャリアのストーリーを伝えられると思った」

今でも彼の姿はNBAのコートで見ることができる。長くプレーしたヒートではなくジャズで、それはジャズの株を購入してオーナーグループの一員となったからだ。NBAの解説者をするのはもちろん、ワインの製造販売に乗り出し、アパレル業も手掛ける。

「最初の6カ月は不安だった。でも、引退してイチから何かを始めて学ぶのもいいと思っていた。バスケじゃ37歳は年寄りだけど、一般の世界ではまだまだ若い。自分にはまだエネルギーが残っていると思っていた。早起きして熱心に働き、人の意見を聞いて応用する。バスケでやっていた方法が、その後の人生でも役立つことは分かっていた」

ジャズとのかかわりについてはこう話す。「僕の役割は変わっていくと思う。筆頭オーナーのライアン・スミスが重要な決定を下す。僕はジャズにかかわって、選手の時には知らなかったビジネスの面を学んでいる。僕の成長を望んでくれるパートナーからも多くを学べる。僕は好奇心が旺盛だし、様々な観点から学んでいる」

不安な時期を抜け出したウェイドは、持ち前のバイタリティと好奇心を発揮することで、セカンドキャリアを充実させている。写真集を作ることで自らの内面に向き合う時間は良いものだったようで、すでに次の本の執筆を始めているそうだ。

「僕の本はどこかでホコリをかぶることになるかもしれない。でも、それでいいと思っている。誰かがこの本を開いて、僕の写真やストーリーから何かを感じ取って、元気を受け取ってくれることを願いよ」