アンドレ・ドラモンド

『シモンズ問題』が暗礁に乗り上げ、ジョエル・エンビードも欠場中

セブンティシクサーズは度重なるトラブルに見舞われている。オフにトレード要求を突き付けたベン・シモンズとの関係修復の兆しは見られない。それでもシモンズの穴をタイリース・マクシーが埋め、ジョエル・エンビードを中心に開幕から8勝2敗とこの上ないスタートを切った。ところがトバイアス・ハリスが、続いてエンビードとマティース・サイブルが健康安全プロトコルに抵触して一時離脱することに。特にチームの中心であるエンビードの欠場はダメージが大きい。5連勝していたチームは、彼が抜けてから4連敗を喫している。

トバイアス・ハリスは一足先に復帰したが、ラプターズ戦、ペイサーズ戦とチームを引っ張るも勝利には結び付いていない。競った展開には持ち込むものの、エンビードとサイブル、NBAオールディフェンシブチームに選ばれた2人を欠いては守れない。ペイサーズ戦では、第1クォーター終盤から相手の猛攻を止められず、4-22のランで大量ビハインドを背負い、終盤に追い上げるも113-118で敗れた。

32得点11リバウンドと攻守にフル回転したハリスも、エンビードとサイブル不在の影響を認めざるを得なかった。「相手に得意なスポットで気持ち良くシュートを打たせてしまい、勢いに乗せてしまった。それが前半の大きなカギだった」とハリスは言う。シモンズの穴を埋めるマクシーも同様にこう語る。「マティースとジョエルは、僕が思い切ったディフェンスに行って失敗してもカバーしてくれる。マティースのヘルプとジョエルのリムプロテクトは強烈だからね。彼らがいなければ、一つのミスも許されないんだ」

そんなシクサーズをさらなる不幸が襲う。アシスタントコーチとして戦術面を担っていたデビッド・イェーガーが、頭頸部がんの治療のためにチームを離れることになったのだ。ドック・リバースは「彼はNBAで最も才能があり、尊敬されているコーチの一人であり、素晴らしい友人だ。コーチとして成功を収めた熱意とポジティブが、がんとの戦いでも彼を支えてくれるはずだ」と語る。リバースなど一部の人間は彼の病気を知っていたが、選手にはペイサーズ戦を終えたロッカールームでイェーガーから伝えられた。

その直後に会見に臨んだハリスはショックから抜け出せていない様子でこう語った。「僕たちにできるのはバスケを頑張ることだけ。でも、彼は今もっと大きなものと向き合っている。僕たちは仲間として、家族の一人として、彼をサポートしたい」

4連敗中ではあるものの、チームの戦いぶりはそれほど悪いものではない。『シモンズ問題』こそ暗礁に乗り上げているが、エンビードとサイブルはいずれ戻って来る。4試合いずれも競った展開に持ち込めているだけに、残った選手たちが結束して奮戦していることが、今後に繋がる可能性は高い。

それを強調するのはアンドレ・ドラモンドだ。「ダメージを最小限に抑える方法を見いださないといけないけど、自分たちが素晴らしいチームだという自信は揺らいでいない。今はまだケミストリーを構築しているところ。今は誰がここにいないのかを気にするんじゃなく、自分たちの力を最大限に発揮することに集中して、この遠征中に1つでも多く勝ちたい」

いまだシクサーズの話題と言えば『シモンズ問題』だが、選手たちはすでに意識を切り替えて先へと進んでいる。