ロンゾ・ボール

「僕らはNBAのほとんどのチームよりずっとスピードがある」

ペリカンズはロンゾ・ボールとの契約延長を見送ったことを後悔しているに違いない。ロンゾは新天地ブルズでの開幕2試合目でペリカンズを相手に17得点10リバウンド10アシストのトリプル・ダブルを記録。ロンゾが作り出すハイテンポなバスケが機能したブルズが128-112で開幕2連勝を飾った一方で、ペリカンズは見るべきパフォーマンスがほとんどないまま連敗となった。

キャリア7度目のトリプル・ダブルを、ブルズ加入から2試合目で達成したことについて、ロンゾは「特に思うことはないね。グッドゲームをすること、勝つことが重要なんだ」と淡々と語っている。

自分を評価しなかったペリカンズに最高のリベンジができた形となったが、「僕は自分にコントロールすることだけを考える。自分の望む場所でプレーできることを幸せに思うよ」と語るに留め、こう続けている。「いつもと違う意気込みはなかった。ホーム開幕戦だから、ファンの前で良いプレーをしたいという気持ちは少しあったかな。僕の場合は、目の前の試合に勝つために、自分にできることを精一杯やるだけ。相手がどこであろうと、それがすべてなんだ」

それでも、ザック・ラビーンはロンゾのパフォーマンスについて「今日の彼の走るフォームには、いつもより躍動感があったように見えたね」と笑った。そして、「選手は本当のボーラーが誰なのか知っているものさ。彼は様々な形で試合に影響を与えられる」と言う。

ブルズの『ロンゾ効果』は明らかだ。ペリカンズでの役割は『3&D』だったが、今の彼は司令塔であり、チームのエンジンとなった。受け身の黒子役ではなく、バスケIQを生かして自ら状況判断し、チームのプレーを作り出す。ビッグマンのニコラ・ブーチェビッチもパトリック・ウィリアムズも走って跳べる選手で、チーム全体のアスレティック能力の高さをロンゾのボールプッシュが生かしている。

彼は古巣へのリベンジや自分のスタッツについて質問されても慎重に言葉を選ぶが、話題がブルズのバスケになると口数が増える。

「僕たちは他の多くのチームよりサイズがないから、自分たちの能力であるクイックネスを生かしたバスケをしなきゃならない。スティールを狙って、それができなくてもディフレクションをしていく。全員にその意識があるから、小さくてもディフェンスが機能しているんだ。僕たちにとってはエネルギーがとにかく大事。僕らはNBAのほとんどのチームよりずっとスピードがあるんだからね。だからこそ、ボールを奪って速攻を出せたチャンスは絶対に逃してはならないんだ」

ロンゾという『エンジン』が生み出すハイテンポなバスケは開幕から機能している。シカゴのファンをとりわけ熱狂させるのが豪快なダンク・ショーだ。この試合でもデマー・デローザンにジャボンテ・グリーン、カルーソがロンゾのアシストから豪快なダンクを決めている。チームメートとの相互理解が深まったことで、速い展開の中で繰り出されるパスがより効果的になっている。

「時間が経つにつれて良くなっていくよ。ケミストリーを構築する必要があったし、もちろんまだ2試合しかやっていない全く新しいチームだ。でも今日は、最初の試合よりも良くなった。これはポジティブな兆候だね」

ロンゾの能力がチームと噛み合って、早くも素晴らしいケミストリーを生み出している。これは間違いなく良い兆候だ。大型補強をしてもなお開幕前のブルズの評価は決して高くなかったが、それも今後は変わってくるに違いない。