ブラッドリー・ビール

「嵐を切り抜け、早い段階でシュートを決めることができた」

昨シーズンにプレーオフ進出を果たしたウィザーズはチームの中心だったラッセル・ウェストブルックをトレードに出し、カイル・クーズマとケンテイビアス・コルドウェル・ポープ、モントレズ・ハレルを獲得。さらにスペンサー・ディンウィディーという実力者もロスターに加えることに成功した。そして、選手の個性を生かすスタイルを用いたスコット・ブルックスを解任し、チームバスケを重視するウェス・アンセルドJr.を新指揮官に据え、新シーズンを迎えた。

エースのブラッドリー・ビールはトミー・シェパードGMの手腕を称賛するとともに、選手層の厚さに自信をのぞかせた。「シェップは与えられた課題をこなした。彼は指名権や莫大な資産を手放すことなく僕たちが求めるモノを手に入れて、僕たちを救ってくれたんだ」

「以前は僕とラスだけだった。今のウィザーズには試合を自在に操れる選手がたくさんいる。オフボールもできるし、ディフェンス面でももっとチャレンジできる。2017年以来くらいの、最高の選手層を手に入れた。ロスターを見て、すべてのポジションで3人の厚さがあるのは、とても良いことだよ」

そして、迎えたラプターズとの開幕戦でビールの自信は現実のモノとなった。ビールがチームハイの23得点を記録してエースの実力を示すと、ハレルがベンチから22得点、クーズマが11得点15リバウンドのダブル・ダブル、そしてディンウィディーも13得点6アシスト(チームハイ)と新戦力が噛み合った。さらに課題だったディフェンスも大幅に改善され、98-83のロースコアゲームを制した。

アンセルドJr.ヘッドコーチも83失点に抑えたディフェンスを称賛しつつ、このように試合を振り返った。「相手が最初からエネルギー全開で、フィジカルなプレーをしてくることは分かっていた。我々は嵐を切り抜け、早い段階でシュートを決めることができた。力強いスタートが切れたし、今日のようなプレーを気に入っている」

ラプターズにとって久しぶりのホーム開幕戦ということもあり、試合前のセレモニーは大いに盛り上がっていた。それでもビールは最初から集中力を維持し、良いスタートを切れた理由の一つにハレルの発言があったことを明かした。「(試合前は)コンサートのようだった。ハレルは『俺たちはバスケットボールをするためにここにいるんだから、最初からロックインして準備をしておけ』と言っていた。これは僕ら他のメンバーにとって素晴らしいメッセージだったよ」

まだ1試合を終えたばかりだが、明らかに昨シーズンとの違いが見られたウィザーズ。八村塁やトーマス・ブライアントが復帰すればさらに選手層の厚みは増す。昨シーズン以上の飛躍を感じさせる開幕戦となった。