小野寺祥太

指揮官も絶賛「期待を込めて使いましたが、期待以上のプレーを見せてくれた」

琉球ゴールデンキングスは川崎ブレイブサンダースとの初戦を105-86と圧勝。シュートが全く入らず52-69と敗れた前回のシーホース三河戦とは正反対で、50%以上の成功率を誇った3ポイントシュートにトランジションからの鋭いドライブ、素早いボールムーブと理想とするオフェンスを展開できた。

ただ、この大爆発も、琉球の根幹であるリバウンドとインテンシティの高いディフェンスがしっかりできたからこそ。そこにはベンチメンバーの数字には出てこない活躍も光っていた。川崎の新外国籍でクイックリリースからの3ポイントシュートを得意とするマット・ジャニングに対し激しくプレッシャーを仕掛け、16得点を取られたものの後半には1得点に留めるなど要所でしっかり抑えるのに貢献した牧隼利、小野寺祥太の働きは大きかった。

その中でも小野寺といえば、開幕節は2試合とも出場なし。前節の三河戦も2試合合計で1分15秒とここまで出番機会が皆無だったのが、コー・フリッピンの故障欠場もあって9分46秒の出場となった。守備に加え3ポイントシュート1本を含む5得点と、オープンでの外角シュートを確実に沈め、攻守に渡って奮闘した。

昨シーズンの小野寺は腰椎椎間板ヘルニアの手術でシーズン後半戦を棒に振った。そこからの復活を期す今シーズンとなるが、前述のように先週までは存在感を出せず。それでも桶谷大ヘッドコーチは、フリッピンを欠く中で小野寺のステップアップを期待していたと語る。

「去年、ケガをした後に良い形で復帰できていなかったです。そして、三河戦では1ポゼッションの出場でちょっとしたミスをしてしまい、ロッカールームのミーティングで悔しい表情を見せていて、絶対に信頼を取り返すという感じでした。今週はやってくれると期待を込めて使いましたが、期待以上のプレーを見せてくれました」

小野寺祥太

「受け身にならないで行く。身体をぶつけることなど小さい部分でやっていけた」

小野寺は、この三河戦のミスを振り返る。「第2クォーターの終わり、ファウルをうまく使おうというところで出させていただいた中で、結果を出せなかった。そこは言い訳なしに、コーチの指示したことをできず悔しかったです」

だからこそ、今回の試合では「本当にチームに貢献したい一心でプレーしました」と強い思いを持っていた。激しくプレッシャーをかけ、ボールタッチ自体を少なくさせたジャニングへの守備に関してはこう言及する。「受け身にならないで行く。身体をぶつけることなど小さい部分でやっていけました。ただ、相手のジャニング選手が乗っている時はもっとファウルもうまく使うべきでした」

ちなみに小野寺は高卒プレーヤーとして、2013-14シーズンにbjリーグ時代の岩手ビッグブルズでプロデビューを飾ったが、当時の岩手で指揮を執っていたのが桶谷ヘッドコーチ だ。そこから岩手で2シーズンを一緒に過ごした後、6シーズンを経て琉球で再び一緒になった歴史がある。

プロとしての基礎を叩き込んだ愛弟子を指揮官は称える。「バスケットボールに必要な泥臭い献身的なプレーをやり続けられるところは昔から変わっていないです。そういう選手がこのチームを支えているのは間違いないです」

今オフ、琉球は積極補強で選手層が厚くなったが、それは新戦力の存在が理由だけではない。チーム全体の底上げができていることを示した今回の快勝であり、小野寺の活躍だった。