アレン・ダーラム

川崎の3ビッグにも難なく対応、主導権を明け渡さず

琉球ゴールデンキングスは10月15日、ホームの沖縄アリーナで川崎ブレイブサンダースと対戦。リバウンド争いを制し、攻守の素早い切り替え方からの得点を量産する理想的なオフェンスを展開し、105-86で圧勝している。

第1クォーター、川崎はマット・ジャニングがファウルを受けながら3ポイントシュートを決める4点プレーを成功させ、守ってはジョーダン・ヒースが琉球のジャック・クーリーを強烈なシュートブロックと、攻守でビッグプレーが飛び出し9-2と先行する。しかし、琉球は直後に田代直希が3ポイントシュートを入れ返すと、続いてターンオーバー奪取からドウェイン・エバンスの速攻で反撃。これで完全に勢いに乗った琉球は、ここからエバンスのドライブ、岸本隆一の長距離砲など内と外でバランス良く得点を重ね32-24と逆転して終える。

第2クォーター、川崎はニック・ファジーカス、パブロ・アギラール、ヒースを同時起用するサイズを強調した布陣で巻き返しを図るが、琉球も帰化枠の小寺ハミルトンゲイリーを投入し、外国籍2人と合わせる布陣で難なく対応する。そして前半だけで18得点と大暴れのエバンスを軸に、残り6分半にはリードを23点差にまで広げた。ただ、川崎も終盤にかけフルコートプレスでターンオーバーを誘発し、琉球の12点リードまで盛り返して前半を終える。

後半の出だし、川崎は「まさかやってくるとは思わなかったです」と琉球の桶谷大ヘッドコーチが語ったファジーカス、アギラール、ヒースの3ビッグを出だしから使ってくる。だが、琉球はこの奇策にも自分たちのリズムを崩さない。途中、ファジーカスの連続得点でリードが一桁に縮まるが、ダーラムが持ち味であるパワーと機動力を生かしたゴール下での力強いプレーを見せ、このクォーターだけで9得点。すぐに2桁リードに戻した。

このクォーター、川崎はファジーカスが13得点をマーク。しかし、琉球にとってはファジーカスに2点シュートである程度やられてしまうのは折り込み済みで、他の選手の得点を抑えることで主導権を明け渡さない。結果としてファジーカスを10分フル出場させながら点差を詰められずガス欠となった川崎に対し、第4クォーターに入っても琉球はプレーの強度で上回った。

そして残り6分14秒、クーリーのオフェンスリバウンドからのパスで岸本隆一が3ポイントシュート成功。両チームの差が凝縮されたプレーで再びリードを20点台にした琉球が危なげなく逃げ切った。

ジャック・クーリー

大敗の川崎「リバウンドを倍近く取れられており、明日どれだけ修正できるか」

この試合、琉球はオフェンスリバウンドで15-6、合計リバウンドでも41-23と大差を付けると、3ポイントシュートも31本中17本成功と文句なしのオフェンスを展開。ただ、桶谷大ヘッドコーチは、それもディフェンスが導いたものと語る。

「入りは少し川崎さんに点数を繋げられましたが、それでも守備のインテンシティは高く、出だしでチームとして良いトーンセッティングができたと思います。それが徐々に効いていて前半は良い形でリードできました」

また、指揮官は23得点のエバンス、21得点のダーラム、17得点の岸本らに加え、スタッツこそ残していないが、ベンチメンバーの貢献も大きかったと続ける。ジャニングの守備に奮闘した牧隼利、小野寺祥太に加え、相手の3ビッグ封じで効果的な働きを見せた小寺について「プレータイムは8分46秒でしたが、その間は最高のプレーでした。彼のスクリーン、パス、リバウンドが印象に残っていますし、数字で見えないところでの貢献がすごいです」と絶賛している。

一方、大敗を喫した川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、敗因をこう語る「一番気を付けていたトランジション、リバウンドの部分について、特に第2クォーターで相手を勢いに乗せてしまったのが敗因だと思います。リバウンドを倍近く取れられており、そこを明日どれだけ修正できるかです」

さらに「肝心なところのリバウンドを取られて走られたり、レフリーの笛でイライラして戻らなかったりと基本的なところで自分たちから崩れてしまいました」と自滅を悔いた。

今日の第2戦、さすがに琉球の3ポイントシュートが初戦のように高確率で決まるとは思えない。勝敗を分けるのは、どちらが自分たちのやりたいディフェンスを貫けるのか。川崎だけでなく、琉球も86点を取られてしまったことを桶谷ヘッドコーチは反省材料に挙げていた。ここで琉球が連勝できればスタートダッシュへ大きな弾みがつき、川崎としてはここで負けて勝率5割になるのはなんとしても避けたい踏ん張りところだ。