ジェイレン・グリーン&ジョシュ・クリストファー

ジェイレン・グリーンを核に、各ポジションに注目選手が揃う

1年前、ジェームス・ハーデンとラッセル・ウエストブルックを擁してマイクロボールと呼ばれた特殊な戦術で戦うロケッツは、一発逆転の恐ろしさを持った強豪チームでした。毎年のようにハーデンのパートナーを入れ替えながらも、ハーデンを軸に超攻撃的なバスケを展開していたチームはこの1年で一気に解体へと向かい、多くのドラフト指名権こそ手に入れたものの、ハーデンとウェストブルックの価値に見合うだけの対価を得たとは言い難いトレードで、再建をスタートさせることになりました。

トレードで損をしたのか得をしたのかを評価することに意味はありません。なぜなら、ルーキーとは思えぬ得点力を発揮するであろうジェイレン・グリーンを核として、ガードにジョシュ・クリストファー、ウイングにウスマン・ガルーバ、センターにアルペラン・シェングンと各ポジションにドラフト1巡目の有望株を揃えることに成功したからです。

長らくチームの象徴だったハーデンと袂を分かつことはロケッツファンにとって大きなショックでしたが、たった1年で若手の躍動を期待できるチームが出来上がり、各選手の成長を楽しむことのできるシーズンが始まります。

ケビン・ポーターJr.、ケニオン・マーティンJr.と合わせて21歳以下の選手がずらっと並びますが、線の細いタイプはおらず、全員がインサイドでのフィジカルな戦いができる選手であることは、このチームの大きな特徴です。

ロケッツ

サイズに関係なく個々の戦いでファイトするハードワーカーを重用するヘッドコーチのスティーブン・サイラスが好むタイプの選手が揃いました。昨シーズンもこのタイプであるジェイショーン・テイトが重用されており、これまでのマイクロボールに変わる新たな『ロケッツらしさ』がどのような形でフィットしてくるのかに注目です。

止められないステップバック3ポイントシュートと、魔法のようなパスで魅了してきたハーデンの印象が強いだけに、新エースとなるグリーンにも同じような個人技を求めたくなりますが、ハーデンの周囲を3&Dで固めていたマイクロボールとは違い、それぞれの選手がオフェンス面での武器を持っており、より多様な個性を生かしたチーム作りをしてくるでしょう。特にセンターのシェングンはプレーの引き出しが多く、インサイドの要になることが期待されます。

競争の激しい西カンファレンスで勝つのは難しいだけに、優勝争いに慣れたファンにとっては物足りなさを感じる部分も多いでしょうが、これだけの才能を一気に揃え、日々の成長を確認できるシーズンは、また違った楽しみに満ち溢れています。