カイリー・アービング

ネッツのショーン・マークスGM「誰がプレーできるかはノーコメント」

新シーズン開幕を1カ月後に控え、NBAにはまだ新型コロナウイルス関連でクリアしなければいけない課題がある。選手のワクチン接種だ。ウォリアーズではアンドリュー・ウィギンズが「強制されない限り受けようとは思わない」とのスタンスでワクチンを接種していない。

ただ、ウィギンズは自らその意思を会見で語って注目されているだけで、ワクチンを接種していない『大勢の一人』でしかない。昨シーズンを通してワクチンの供給が進み、多くの選手が接種した。リーグ内でのパンデミックを避けるべく、健康安全プロトコルと呼ばれる細かいルールが決められ、選手たちは厳しい制約の中で生活を送り、プロバスケ選手としての活動をしてきた。健康安全プロトコルにはワクチン接種の条項も加えられ、接種済みの選手は行動の制約がかなり緩いものになる。ただ、それでもなおワクチンを接種しようとしない選手は存在する。

シーズンオフを挟み、間もなくトレーニングキャンプでチームとしての正式な活動が始まろうとする今、各クラブはワクチン接種を望まない選手の対応に苦慮している。NBAによれば、選手全体の約85%がワクチンを接種済み。全米バスケットボール選手協会によればこの数字は90%となる。問題は、10%から15%の選手をどう扱うかだ。

リーグと選手会は健康安全プロトコルの運用も含めて感染防止策の協議を続けているが、彼らは多様性を第一とする選手会はワクチン接種を選手個々の判断に委ねている。医学的な無理解だけでなく、宗教上の理由があり、そもそも多くの選手が『強制されること』自体に抵抗があり、選手会はそこに踏み込もうとはしない。

NBAは各チームにそれぞれの地域の予防接種ルールを適用する方針だ。『FOX Sports』によれば、ニックス、ネッツ、ウォリアーズのワクチン未接種の選手は、「ワクチンを少なくとも1回接種するか、医療上または宗教上の免除が承認されない限りは、ホームアリーナでの練習やプレーが禁止となる」とのこと。

ニックスは昨日の会見で、選手とコーチ、スタッフを含めた全員がワクチン接種済みであることを明かした。一方でネッツは「現時点ですべての選手が接種済みではない」と明かしている。『NBC SPORTS』は複数の関係者の証言として、カイリー・アービングがワクチン未接種であると報じている。ネッツのショーン・マークスGMは、「誰がプレーできるかはノーコメントだが、キャンプ開始までには全員が参加できるようになると信じている」と語っている。

シビアな問題として、ネッツがNBAで優勝するにはケビン・デュラントとジェームズ・ハーデンを含む『ビッグ3』が健康であることが最も重要であり、カイリーがホームゲームに出場できなければダメージは甚大だ。ネッツとカイリーは契約延長の交渉中で、マークスGMは「前向きな話し合いができている」とコメントしているが、現状では交渉は進展しないだろう。頑固なカイリーがこのままワクチン接種に同意しなければ、ネッツにとっては様々な意味で思惑が外れることになる。