ラプターズ

コロナ禍の昨シーズン、フロリダ州タンパを『仮のホーム』に

日本人ファンにとって、ラプターズの2021-22シーズン初戦はウィザーズを迎えるゲームとあって『日本人対決』が注目されるが、現地の人々にとっては感慨深い『ホームへの帰還』となる。2019-20シーズン、リーグ内に新型コロナウイルスの感染者が出たことでレギュラーシーズンは一時中断となり、再開後はオーランドの『バブル』で試合が行われた。そして昨シーズン、ラプターズはカナダとアメリカを行き来することができず、フロリダ州のタンパを仮の本拠地とした。

ラプターズがトロントで最後に試合をしたのは、2020年2月28日のホーネッツ戦。10月の開幕戦が、実に600日ぶりに迎えるラプターズのホームでの公式戦となる。

球団社長のマサイ・ウジリは会見を開き、「ついに『我が家』に戻ることができる』と語った。まだ新型コロナウイルスの脅威が去ったわけではなく、まだしばらくはトロントに戻れない可能性もあったが、ウジリは「トロントで試合をしたかった。それ以外の方法には興味がなく、別のホームを探そうとはしなかった」と語る。

「タンパへの仮の移転を実施するのは大変だった。我々を受け入れ、難しい時期に協力を惜しまなかったタンパの人たちには感謝しているが、もう家に帰る時間だ。二度と起こらない経験だろうし、二度とはあってほしくない。ホームでプレーできないことで、非常に悔しい思いをした。我々にとっても選手たちにとっても簡単なことではなかった」

アメリカ国外に本拠地を置く唯一のチームとして、ラプターズは大苦戦を強いられた。スタッフも選手もトロントから2000kmも離れたタンパベイに引っ越し、クラブオフィスも練習場もすべてが仮のもの。しかもシーズン中にもコロナ禍に苦しめられた。言い訳にはできないにせよ、7シーズン続いていたプレーオフ進出が途切れ、勝率が5割を切った不振の大きな要因だった。だからこそ球団はトロントへ戻ることを最優先に動いたし、今回の決定に至るまでトロント市や州の保健当局、またジャスティン・トルドー首相ともコンタクトを取って万全の調整をしているとのこと。

「トロントに戻るのが待ち切れない。バスケットボールの面でも、生活の面でも、『我が家』に戻ることにワクワクしている」と笑顔を見せるウジリが、トロントで会見を行うこと自体が2020年3月以来のことだ。彼は久々に会うトロントの記者たちに「やっと帰って来た。もう出ては行かない。永遠にここにいるよ。最高の方法で勝利を目指すことを約束する」と語った。

スコシアバンク・アリーナに戻って来たラプターズにカイル・ラウリーがいないのは、地元ファンには寂しいことだろう。それでも『強いラプターズ』を取り戻す1年が、これからスタートする。