髙田真希

タイムシェアをする中、突出して長い約37分の出場

金メダル獲得を目標に掲げるバスケットボール女子日本代表にとって、初戦のフランス戦はグループリーグ突破を確実にするために重要な試合だった。実力は拮抗し、一進一退の攻防が最後まで続いたが、終盤に勝負強さを見せた日本が74-70で接戦をモノにした。

長らくチームを牽引してきた渡嘉敷来夢が負傷離脱したことで、日本はスピードと3ポイントシュートを重視するスモールバスケットのスタイルをさらに突き詰めることに。それはサイズの不利が以前よりも大きくなり、インサイドの負担がますことを意味する。その中で髙田真希はキャプテンとして、インサイドの大黒柱として日本を支え続けてきた。

髙田は「自分たちは小さいチームですし、誰かが核となっているチームではない。チーム全員でディフェンスして、チーム全員でリングにアタックする。それを最後までやり通せたことがこの勝利に繋がった」と、試合を振り返った。タイムシェアをして、12人全員がコートに立ったことからも、その言葉に間違いはない。ただ、指揮官のトム・ホーバスが「髙田は37分も出た。すごく頑張った」と称賛。2番目にプレータイムが長かったのが22分の赤穂ひまわりだったことからも、髙田がいかに替えの利かない存在だったかが分かる。

髙田は自分よりも大きな選手と常にマッチアップしつつ、ヘルプに目を光らせ失点を最小限に防いだが、周りの選手のおかげであることを強調した。「自分がマッチアップする選手は得点源なので、まずそこを抑えなきゃいけない気持ちで入りました。一人で抑えられる部分と抑えられない部分があり特に後半はやられましたが、ダブルチームに来てくれたり、しゃべりながら連携が取れている部分がたくさんあって、チーム全員で守れました。チームで戦えているのが良いところです」

確かにゲームハイの18得点を奪われたアンドリーヌ・グルダの対応には苦労した。長身ながらフェイダウェイシュートを高確率で決められ、ダブルチームに行く隙も与えてもらえなかった。髙田も「ボールを簡単に持たせないことを徹底しなきゃいけない」と語り、パスが渡る前のディフェンスを課題に挙げた。

髙田真希

対アメリカ「自分たちのペースに40分間持って行ければ勝てる自信もある」

「オフェンスよりもディフェンスを徹底しようとして臨んだ」と語ったように、髙田の守備面での貢献度は非常に高かった。しかし、髙田の活躍はディフェンスだけに留まらず、チームで3番目に多い10得点を挙げたようにオフェンス面でも光った。前半は合わせやドライブで仕掛けて相手のファウルを狙ったが、笛が鳴らずに苦労する場面も見られた。それでも、大事な場面で3ポイントシュートを沈め、残り1分15秒には結果的に決勝点となる逆転3点プレーも決めた。

殊勲のプレーだったが、髙田はこの場面もチームプレーの延長だと言う。「前半もリングにアタックしていたんですけど、相手のタフなディフェンスの前にブロックショットを受けたりもしました。でもアタックをやめずに攻め続けたことでああいう場面が生まれました。みんなが作り上げたスペースも良かったですし、その前に崩してくれた部分もあるので、チーム全員で攻め続けた結果です」

次戦は世界最強のアメリカ代表と戦う。金メダル獲得のためには避けては通れない相手だが、それでも髙田は今回の勝利で大きな手応えを感じ、アメリカ超えに自信を深めている。

「フランスに勝てたことはすごく自信になりました。アメリカは今日よりも10cm以上大きくなると思うので、自分自身ももっと頑張らないといけないと思います。ディフェンスからオフェンスに繋げていくのが日本のスタイルです。タフなディフェンスをして良いオフェンスに繋げ、自分たちのペースに40分間持って行ければ勝てる自信もあるので徹底していきたい」