ポール・ジョージ

『ポストシーズンで活躍できない選手』という汚名を返上する活躍

ポール・ジョージはまたしても敗れた。しかし、本来得るべき尊厳を手にしたのではないだろうか。彼は常に不当な過小評価を受けてきた。『ポストシーズンで活躍できない』というレッテルは、一度貼られると剥がすのは簡単ではない。『パンデミック P』というニックネームは不謹慎で、気分の良いものであるはずがない。それでも彼は、長くその状況でプレーし続けてきた。

今シーズンのプレーオフにおけるジョージのベストパフォーマンスはサンズとのカンファレンスファイナルの第5戦だった。彼は41得点13リバウンドという圧倒的な数字を残してチームを勝利に導くのだが、前半終了間際に『ESPN』のコメンテーターは、それまで11得点だったジョージについて「チームは後がない状況で、彼はあまりにも消極的だ。『お前がやるしかないんだ』とハーフタイムに気合いを入れなければ」と言った。さらに別のコメンテーターはクリッパーズ13点リードの第4クォーター序盤にジョージがベンチに下がると、「私が彼の立場であればプレーし続けるとヘッドコーチに言う。アドレナリンが出ていれば疲れは感じないはずだ。真のエースはすべての時間でプレーしなければならない」と発言した。

前半で11得点はエースとして物足りないかもしれないが、及第点ではある。ジョージに攻める意欲が足りないようには見えなかった。第4クォーター最初の数分間でベンチに下がり、最後の勝負どころのために『足』を残しておくのは当然の起用法だ。それにもかかわらず、そんな言葉を投げ掛けられるのは『ポストシーズンで活躍できない選手』というレッテルが貼られているからだ。

これまで19試合を戦ったのはクリッパーズだけということもあるが、平均40.9分プレーするジョージの合計プレータイムは776分にもなり、2位のブッカー(647分)に大差を付けてトップとなっている。ずっと2日に1試合のペースで戦いながら大崩れすることなく、26.9得点、9.6リバウンド、5.4アシストというスタッツを残したのは素晴らしいの一言だ。

第6戦を落とし、2勝4敗でシリーズ敗退が決まった後、ジョージはこう語っている。「僕がポストシーズン・プレーヤーじゃないという話は全く理解できない。でも、大したことじゃない。僕もみんなと同じで、いろんな状況に向き合うだけのこと。誰かに対して何かを証明しなきゃいけないとは思っていない。ただこのチームのリーダーとしての姿を見せようとしただけさ。僕は今回も勝てなかったけど、チームが成し遂げたことに誇りを持っている」

ジョージはこう続ける。「仲間たちが誇らしいよ。ケガ人だらけの1年で、このポストシーズンは特にそうだったけど、どうやって戦うべきか道を探し、勝つためにプレーし続けた。ロッカールームの雰囲気はこれまで僕が経験したどのチームより良かったよ」

ジョージはそう言うが、チームの姿勢はリーダーが示すものだ。それがジョージにより作り上げられたものであることは、クリッパーズの誰もが理解している。ヘッドコーチのタロン・ルーは、ジョージの貢献を次のような言葉で称えた。

「プレーオフだけじゃなく、シーズンを通して彼の存在は大きかった。そして終わった今こそ判断できるが、彼はプレーオフで素晴らしい活躍をしてくれた。すべての力を出し尽くすまで戦おうと考え、実際にそうした。ずっと全力で戦い続けてきたのだから、敗れてもその結果を受け入れられると思う」

優勝は果たせなくても、カンファレンスファイナル進出はクリッパーズにとって初の偉業だ。タフに、クレバーに、そして不屈の闘志で戦い続けたことで、そこまでたどり着いた。ただ、ジョージの挑戦はまだ続く。

「確かに実力不足のところがあって、本来行きたかったところまでは行けなかった。でも、自分の足りないところが分かれば改善できる。それはこの夏にやるつもりだ」。そう語るジョージは、さらに強くなって新シーズンに戻って来る。