レブロン・ジェームズ

プレーイン・トーナメントに回ればレブロンvsカリーの実現も?

レブロン・ジェームズは足首の痛みを理由に今日のナゲッツ戦には出場しない。長期戦線離脱から復帰して2試合に出場したが、いずれも敗戦。現地2日のラプターズ戦では明らかに全力でプレーできておらず、試合途中で退いた。アンソニー・デイビスも復帰から6試合をプレーしたが、まだまだ本調子には程遠い。得点でリバウンドでとそれなりの数字は残しているものの、ペイントエリア内での力強さ、支配力は本来の半分も出せていない印象だ。

レブロンは復帰を急いだことを明かしており、本来であれば練習でコンディションを上げていく段階でも、同時に試合勘を取り戻すために実戦に出ているのかもしれない。それでもチームはデイビス復帰後に1勝5敗、レブロンが戻っても悪い流れは変わらない。プレーオフで勝つためのコンディション調整と見れば結果に目をつむってもいいが、とにかく内容が悪い。しかも今はゲーム差なしでマーベリックス、トレイルブレイザーズと並んでおり、このままだとプレーイン・トーナメントに回りかねない。

レブロンはラプターズ戦に敗れた後の会見で、プレーイン・トーナメントについて聞かれ「あれを発案したヤツをクビにすべきだ」と発言。彼自身もかなりフラストレーションを溜めているようだ。デイビスは自身の調子が上がらないことを認め、今のレイカーズについて「繋がっている時は自分たちがどんなチームになれるか分かっていた。シーズンの序盤にはそれが見えていたけど、今は繋がっていないと感じる」とコメントした。

さらにはデニス・シュルーダーも離脱した。健康安全プロトコルの対象となりラプターズ戦を欠場したシュルーダーは、10日から14日間の欠場となることが発表された。新型コロナウイルスに感染した可能性が高く、そうなれば欠場期間の後にも体力の低下、後遺症に苦しめられる恐れがある。彼が不在となればプレーメーカーの駒が少ないレイカーズでレブロンの負担は増す。しかし、レブロンに無理はさせなくない。しかし、プレーイン・トーナメントに回ることになれば全員が消耗する、という難しい状況だ。

とはいえ、レブロンとデイビスを最善のコンディションでプレーオフに臨ませる選択は間違ってはいないはずだ。ここから半月で彼らはコンディションと試合勘を取り戻していく。100%でなくても、ケガの不安なくプレーできるレベルにまで回復すれば十分。あとはプレーオフの中で状態を上げられるだけの経験がある。彼ら2人が不在の間、サポートキャストによるレイカーズの戦いぶりは不安しかないが、それでもこの問題はどのチームも抱えているもの。カワイ・レナードとポール・ジョージに続く選手がクリッパーズにいるだろうか? ナゲッツはジャマール・マレー離脱の穴を埋められるか? つまり、レブロンとデイビスの復調があればレイカーズはプレーオフで十分に戦えるということだ。そしてレイカーズは、その部分だけはブレることなくレギュラーシーズン終盤を戦っている。

そしてレイカーズはプレーオフ向きのチームだ。これだけ負けが重なり順位を落としていても、またディフェンス面でも欠かせないレブロンとデイビスの欠場が長引いても、ディフェンスレーティングではシクサーズ、ジャズを押さえてリーグトップをキープしている。アンドレ・ドラモンドはいまだ連携不足だが、リムプロテクターという意味では即戦力だ。プレーオフの戦いはレギュラーシーズンとは別物で、オフェンス力はアテにならない。今の戦績ではフランク・ボーゲルへの批判は避けられないが、プレーオフになった途端に彼の采配が光り、チームが自信を取り戻したとしても何ら不思議はない。

つまり、今もなおレイカーズは西カンファレンスの優勝候補なのだ。上位シードを確保したサンズ、ジャズ、ナゲッツ、クリッパーズは「1回戦でレイカーズとは当たりたくない」との考えで一致しているに違いない。次に考えるのは、「プレーイン・トーナメントに回って、自分たちと当たる時には少しでも消耗してほしい」だろう。NBA優勝を果たすには、レイカーズは避けては通れない壁だ。レブロンとデイビスのコンディションやシュルーダーの健康状態には関係なく、レイカーズにはそう思わせる力と実績がある。

その一方で、レイカーズと当たりたいと思っているチームがあるとすればウォリアーズではないだろうか。今のウォリアーズはプレーイン・トーナメントでの上位シードを狙っている。優勝候補として重圧のある上位チームならともかく、挑戦者の立場であればレイカーズに挑みたい気持ちがあってもおかしくない。チーム力の差は歴然としているが、一発勝負であれば何が起きてもおかしくない。

ステフィン・カリーとレブロン・ジェームズの対決がポストシーズン早々に実現する──想像するだけでも誰もが興奮する。観客をワクワクさせるのがNBAの価値だとすれば、プレーイン・トーナメントを発案して実施にこぎ着けた担当者がクビになるはずはない。