カイリー・アービング

「チームメートにチャンスを作れなかった」

ネッツは現地4月4日のブルズ戦を107-115で落とし、連勝が4で途切れた。ケビン・デュラントの復帰は急がせず、ハムストリングを痛めているジェームズ・ハーデンも無理はさせなかった。さらにはディアンドレ・ジョーダンも休養のために欠場。ヘッドコーチのスティーブ・ナッシュはハーデンの状態について「プレーオフなら出場していただろう。しかし我々は急いではいない。慎重に判断したいんだ」と説明している。

レギュラーシーズンで主力に無理をさせないのは既定路線。ただ、試合中にタイラー・ジョンソンとランドリー・シャメットがケガをしたのは想定外だった。後半はほとんどの時間帯で2桁のビハインドを背負い、一度もリードすることなく敗れた。

カイリー・アービングは「第2クォーターではシュートにしてもドライブにしても余計なプレーが多く、チームメートにチャンスを作ることができない間に離されてしまった。やるべきディフェンスで相手を止めることもできなかった」と、18-32と走られた12分間を敗因に挙げた。

そのカイリーはチーム最多の24得点に加え、15アシストを記録。ただ、スタッツとは別に彼自身が「チームメートにチャンスを作れなかった」と語るように、彼の仕掛けから点を取ることはできても、チームとしての連動性は乏しく、効率の良い攻めができなかった。ズレを作ることができないまま仕掛けるアタックに対し、ブルズの選手たちは余裕を持って守ることができ、それはスタッツではネッツのフリースローがわずか7本だったことに表れている。

アービングはポイントガードだが、今シーズンはゲームメークをハーデンに任せ、彼自身は個人技で相手の守備を切り崩し、得点を奪う仕事にフォーカスしている。ハーデン不在ではゲームメークが機能しない、という問題がこのブルズ戦では出てしまった。

指揮官ナッシュは「MVPを争う選手を欠いているのだから、上手く機能しない部分が出るのは無理もない」と言う。「ただ、主力の誰かを欠いてどのように戦うかは今も模索しているところだし、この試合について言えば誰かが不在だったからではなく、チーム全体として動きにキレを欠き、ボールを動かせず判断も遅かった。それでも、誰かが欠場したことを言い訳にしたくはない。我々がやるべきことは、今日の試合から学んでより良いプレーをすることだ」

強いチームはスター選手を擁し、その選手が欠場となればチームのパフォーマンスは落ちるもの。ネッツにとって重要なのはプレーオフの勝負どころで全員がよりベストに近いコンディションであることで、そのための選手起用をナッシュは行っている。しかし、これまでに『ビッグ3』が揃って先発出場したのは7試合しかない。レギュラーシーズンの残り試合は22。そろそろ、フルメンバーが揃った状態でのケミストリーを高める作業に取り掛かる時期だ。徹底的に主力に無理をさせず、ポストシーズンまで心身ともに余力を残すナッシュの策が正しいのかどうかは、これからの1カ月間で見えてくる。