ケビン・ガーネット

「この世界には尊重しないといけない掟がある」

ケビン・ガーネットは1995年のドラフト全体5位でティンバーウルブズに入団し、ウルブズではオールスターに10回選出されるなどフランチャイズの顔として活躍。2008年にセルティックスへ移籍しNBAチャンピオンに輝いた後、ネッツを経てウルブズへ戻り2016年に引退した。

その彼は『Jimmy Kimmel Live』に出演した際、NBAキャリア1年目の1995-96シーズンに犯してしまった大きなミスに関するエピソードを披露した。この話の登場人物は、ガーネット、当時ウルブズでプレーしていたアイザイア・ライダー、そして『バスケットボールの神様』ことマイケル・ジョーダンだ。

舞台は1996年2月27日、ウルブズが敵地でブルズと対戦した試合。サウスカロライナ出身のガーネットは、NBA選手となって地元に凱旋した試合ということもあり、気分が高揚していた。試合内容も「今までに経験したことがないぐらい絶好調だった」と自画自賛したほどで、同年72勝10敗を記録したブルズを相手に20得点を記録している。

そのガーネットが犯してしまった過ちとは、ブルズの絶対的なエースであるジョーダンを怒らせてしまったことだった。「リーグには『眠っている犬を起こすな』という表現があるんだ。現役時代、僕はそれを身をもって経験した」と語り始めたガーネットは、当時の試合で起こったことを詳細に伝えた。

「当時、まだ19歳で若かったし、NBAでプレーするようになって生意気だった。シカゴの高校を卒業して、NBA選手として地元に戻ってきてブルズと対戦した。その日は今までに経験したことがないぐらい絶好調だったよ。チームメートのライダーも素晴らしかった。まだ19歳だった僕は、彼に『このままやってやろうぜ、ライダー。ジョーダンをやっつけてやろう』と言ってしまったんだ。その結果、眠っていた犬を起こしてしまったのさ」

「起こしてしまった大型犬こそマイケル・ジョーダンで、それから何度となく噛みつかれたよ。それまでに警告はあったんだ。でも、僕は警告を警告だとは分からず、状況は悪化していった」

ガーネット曰く、ライダーは彼をなだめようとしていたというが、勝ち気な若者が素直に言う通りにするわけがなかった。「ライダーは『なあ、冷静になろう。たしかに今日は調子が良いけど、そのくらいにしておけ。ジョーダンに聞こえる』と言っていた。僕は気にせず、『だからなんだって言うんだよ。関係ないよ』という感じだった。この世界には尊重しないといけない掟があるけど、僕は若くて向こう見ずだった」

第3クォーターを終えてブルズが82-76でリードしていた試合は、ジョーダンが最終的に35得点を記録し、ブルズが120-99で快勝。1年目に苦い体験をしたガーネットだが、今でもジョーダンに会うと委縮してしまうそうだ。

「ジョーダンに会うと、いまだに同じことをやられるんだ。僕の頭を撫でて、『お前との対戦で俺が第3クォーターで40得点取った試合を覚えているだろ?』と言われる。僕は『もう勘弁してよ』という感じなんだけど、彼は自分のスタッフを呼んで、スマートフォンでその試合の映像を出すように指示するんだ。まさに『ジョーダン・ブランド』を象徴する話さ」