島田慎二

「バスケ界が分断されてしまったのは非常に残念」

アジアカップ予選のWindow3は、開催地であるカタールの政府から要請を受けたことで、ギリギリになって中止となった。今回のWindow3に派遣する日本代表について、Bリーグの島田慎二チェアマンが本日会見を開き、Bリーグのチェアマン、そして日本バスケットボール協会(JBA)副会長の両方の立場で意思決定に関与した立場として説明をした。

一度は日本の立候補を受けて東京で決定したWindow3だが、今年に入って緊急事態宣言が出たためにドーハ(カタール)に変更されることに。同時にFIBAから出場を強く要望され、JBAは予選参加に向けて検討を始めた。

その中でJBAからBリーグへと、状況と選手選考方針の説明があったのは2月3日のこと。代表招集に応じることは義務であり、各クラブには協力する意思もあったが、カタールに行った選手は帰国の際に2週間の隔離を課され、佳境を迎えたレギュラーシーズンと天皇杯のファイナルラウンドを欠場することになる。Bリーグからは選手の安全対策の徹底と、リーグ戦の公平性を保つための選手派遣の制限が要望された。これが一部で報道のあった『1クラブからの招集は1名まで』のルールだ。

島田チェアマンはこのルールがあったことを認めるとともに、結果として招集に応じないクラブ、選手も出たことについてこうコメントした。「こういう難しい状況での判断は支持しなければならない。とはいえ、派遣を決断したクラブや選手がいる以上、ガバナンスの面も考慮して制裁も検討しましたが、最終的には大会の中止も受けて、本件は終了することになりました」

「すべてがイレギュラーな状況。規定規約はあるものの、この状況で家族や子供もいて、万が一感染したら保障は難しい、コンディションの不安、カタールという行き先の不安もある。代表に協力できなかった選手もいて、規約に照らし合わせれば制裁となるが、この状況で難しいと判断したクラブ、選手を責める状況ではありませんでした」

FIBAはアジアカップ予選について代替開催を検討しており、この状況は近々また起こるかもしれない。その時の状況次第での対応が求められるが、島田チェアマンが語ったのはバスケ界の分断に対する危機感だ。

「様々なところで疑念が飛び、細かなコミュニケーションを内部では取ったにもかかわらず払拭しきれず、オールバスケットで取り組んできたバスケ界が分断されてしまったのではないかと、非常に残念に思っております。しかし、こういう時だからこそ、JBA、リーグ、クラブ、選手、ファンの皆様、どれも欠けてはいけない存在です。お互いにリスペクトして、コミュニケーションを取ることが、今後バスケ界が大きくなっていくためには必要です」

「この分断こそがこのコロナの最大の人類に対する強みです。バスケ界も分断されるような状況になりましたが、コロナに打ち勝つことは、この分断に打ち勝つことでもあると思います。レギュラーシーズンを最後まで遂行することだけでなく、コロナの本質に勝つことにチャレンジしていきたい」