八村塁

第3クォーターの勝負どころで八村が躍動、15得点を記録

マーカス・スマートがふくらはぎを痛めて戦線離脱してから、セルティックスは本来の力を出せずに3勝5敗と苦しんでいる。タレントが揃うこのチームの選手層があれば、13.1得点、6.1アシストというスマートの数字を補うのは難しくないはずだが、試合の流れをコントロールし、必要とあれば闘志をむき出しにして流れを引き寄せる気持ちの強さは替えが利かない。相手に勢いがある展開で踏ん張り、押し返す力を、今のセルティックスは欠いている。この試合ではジェイソン・テイタムがファウルが先行する悪い流れから抜け出せず6得点止まり。ピストンズに続いてウィザーズと、下位チームに連敗を喫したのはあまりにも痛い。

闘志を欠いたセルティックスに対し、ウィザーズは士気盛んだった。ブラッドリー・ビールは前回のニックス戦で今シーズン初めて休養のために欠場した。「精神的にも身体的にもスッキリして戻って来た。少し試合から離れたおかげで、身体のキレも取り戻せたように思う」とビールは言う。「僕は良いプレーをしなきゃいけないと自分自身にプレッシャーをかけていて、どの試合でもできる限りのベストを尽くそうとしてきた。でも、一人ですべてをこなすことはできない。ちょっとした休みが必要だったんだ」

そのビールはオフェンスを牽引し、35得点7リバウンド5アシストを記録。強引に仕掛ける場面が減り、チームを動かすプレーが増えた結果、彼自身のフィールドゴール成功率は55.6%(18本中10本成功)と高く、チームオフェンス自体が活性化した。

動きの重かったセルティックスを相手に、運動量で上回ったことが大きな勝因。アシストが14しかなかったセルティックスは人もボールも回らず、個人での打開に終始し、ウィザーズのチームディフェンスの脆さがこの試合では出なかった。

八村塁は開始3分半、相手のターンオーバーから速攻を仕掛けてフリースローを獲得。これで初得点を挙げると、直後には左コーナーからゴール下に飛び込んでパスを呼び込んでダンクを決めた。66-53で迎えた後半残り8分からは、八村のダンクショーが開演。前半と同じように左コーナーからタイミング良くゴール下に飛び込んでダンクを叩き込むと、守備でプレッシャーを掛けてテイタムのシュートを落とさせ、一気に縦へとスピードを上げて再びダンクを決める。セルティックスがタイムアウトを取っても八村の勢いは止まらない。右コーナーでのステイから、ラッセル・ウェストブルックとのオフボールスクリーンでフリーになり、その瞬間を見逃さなかったビールのパスを受けて3本連続のダンクを決めた。

八村のダンク3連発を含む11-0のランで77-53。第3クォーターを5分残した状況で八村はベンチへ。その後はルーキーのデニ・アブディヤがタフなディフェンスで奮闘し、大量リードを受けて八村が再びプレーする状況にはならなかった。八村は22分の出場で15得点4リバウンド1アシスト1スティールを記録。元気のなかったセルティックスに対し、ハッスルする姿勢を押し出して勝利に貢献した。