遠藤祐亮

サイモン不在の京都を相手にインサイドを制圧できず苦戦

宇都宮ブレックスは、2月13日に行われた京都ハンナリーズとの初戦を76-71で制した。この試合、京都はインサイドの大黒柱であるデイヴィッド・サイモンが水曜ゲームに続いて故障欠場。また、京都は外国籍3人のうち1人がポイントガードのレイヴォンテ・ライスであり、帰化枠のライアン・ロシターにジョシュ・スコット、ジェフ・ギブス、竹内公輔とリーグ屈指の強力インサイド陣を有する宇都宮はゴール下で大きなアドバンテージがある中での一戦となった。

実際、宇都宮はスコットの8本を筆頭にチーム全体で19のオフェンスリバウンドを取り、セカンドチャンスポイントでは25-10と大差をつけたことが勝因となった。ただ、一方でファストブレイクポイントについては2-11と劣勢で、サイモン欠場でスモールラインアップを押し通した京都に目論み通りに走られた。さらにオフェンスリバウンドを14本取られるなどゴール下を制圧できたわけでもない。

こういった内容も影響してか、安齋竜三ヘッドコーチの試合後の総括も歯切れが悪かった。「自分たちのやるべきことをできる時間が長くなくて、どちらに転ぶか分からないゲームになりました。勝ったことは良かったと思いますが、昨日の練習くらいから(水曜ゲームの)北海道戦の反省というか、意識が低くて、今日もその通りのゲームになってしまった。明日はしっかりとした準備、意識、危機感を持ってやっていきたいと思います」

指揮官は「勝つのは本当に難しいです。京都は(サイモンが欠場しても)外国籍選手の得点能力が高い2人が残っていて組織的に戦ってきました。そこで勝ちきれたのは後半にディフェンスで我慢できた部分が多かった」と京都に対してのリスペクトを持っているが、ブレックスアリーナのボルテージが上がるような場面が少なかったことにも触れ、「全体的に見れば、会場の雰囲気を見てもそんな感じだったと思います」と表現している。

レイヴォンテ・ライス

「自分たちから相手の策にはまってしまうことが多かった」

この試合、勝負どころでのビッグショットが光ったのは遠藤祐亮で、10得点のうち7得点を第4クォーターに挙げている。残り4分53秒にリードを2桁に広げる3ポイントシュートを沈めると、京都の粘りにあって4点差にまで追い上げられた残り50秒に1対1からステップバックでのジャンプシュートを決めて勝利を決定づけた。

第4クォーターでの活躍を遠藤はこう振り返る。「しっかりしたスペーシングでオフェンスを組み立てることができれば怖いディフェンスではないのに、慌ててしまって自分たちから相手の策にはまってしまうことが前半から多かったです。前半は積極性を出せていないところがあったので、第3クォータからは自分のシュートを意識し、仲間を助けることを新たに考えながら入りました。最後の場面は冷静に自分で行く判断ができたと思います」

ただ、試合全体を通しては「この前の北海道戦と同じでスタートからしっかり入れずに今日も締まりのないゲームになってしまいました。ところどころで自分たちのゲームはできましたが、それはこのメンバーならもっと多くの時間でできると思います」と指揮官と同じく反省が多くなる。一方で、調子が万全でなくても勝ち切れたことの意義を強調する。「今のような状況は1シーズンを通して考えたらあると思います。こういうゲームになっても第4クォーターに点差を離すプレーが冷静にできたので、下を向く必要はないです」

どんな強豪であっても、長いシーズンを通じて高いパフォーマンスを維持するのは現実的には難しい。本当に底力のあるチームは、いまいち噛み合わない中でも白星を積み重ねていけるものだ。それを考えると、7日の新潟アルビレックス戦、10日のレバンガ北海道戦、今日の京都戦と苦しみながら5連勝している宇都宮は、確実に目指す頂きへ前進していると言える。