カイリー・アービング

ネッツに競り負けたクリッパーズ「次はこうはいかない」

ジェームズ・ハーデンがネッツに加入するまで、NBAでスター選手が揃うチームといえばクリッパーズだった。カワイ・レナードとポール・ジョージの2人のエースを、各ポジションのタレントが支える。クラッチタイムにボールを託せる選択肢が多いことは、プレーオフを勝ち抜くための必須条件だ。そのクリッパーズとネッツがニューヨークのバークレイズ・センターで激突した。前半こそクリッパーズがリードしたが、後半には1ポゼッション差の接戦が続き、終盤にネッツが抜け出すも振り切るには至らず、最後の最後まで勝敗の分からない熱戦となった。

第4クォーター途中からは、レナードとジョージ、ケビン・デュラントにカイリー・アービング、そしてハーデンが入れ替わりで個人技でアタックするプレーオフさながらの展開に。それでもカイリーの3本連続シュート成功を含む13-0のランで優位に立ったネッツが、クリッパーズの最後の猛攻をしのいで124-120で勝利している。

カイリー・アービングは6本の3ポイントシュート成功を含む39得点をマーク。「オフェンスでもディフェンスでもアグレッシブでいることを心掛けた。2人のエース、他にも素晴らしい選手が揃っているクリッパーズと競い合う中で良い印象を与えたかったし、実際にそうできたと思う」と、試合後には充実した表情を見せた。

今のネッツではハーデンがゲームメークに、デュラントがディフェンスとリバウンドに重きを置き、カイリーが得点に集中する形で『ビッグ3』の分業体制が機能している。39得点と結果を出したカイリーだが、彼が語ったのはディフェンスのことだった。

「大事なのはゲームを終わらせることだ」とカイリーは言う。「10点差が8点差になって、残り1分で5点差。ここからどうゲームを終えるか。クリッパーズに反撃されて、やり返す必要があった。試合ごとに状況は異なるけど、オフェンスでもディフェンスでもチームのために必要なことをそれぞれがやる。僕は誰が相手でも守れるわけじゃない。今日も何度かドライブでやられてしまった。でも、僕の努力も含めてチームのディフェンスには良い手応えを感じている。エキサイティングなゲームになったよ」

終盤は両チームともにアイソレーションによる仕掛けが多く、プレーオフのような雰囲気を感じさせた展開だっただけに、負けたクリッパーズの選手たちにも『ただの一敗』に留まらない悔しさが見て取れた。ジョージは「相手に世界最高のアイソプレーヤーがいたのは事実だよ。だけど僕たちも対策する。マッチアップも変わる。次はこうはいかない」と語る。

この試合では23得点6リバウンド、クリッパーズの『第3の男』として活躍したニコラ・バトゥームは「今日、ウチはベバリーを欠いていたことを忘れないでくれ。彼が戻って来たら全く違う展開になるよ」と訴えた。パトリック・ベバリーは膝を痛めて離脱中。現在発表されているスケジュールでは、半月後に今度はロサンゼルスで両者は再戦する。ここでどんな試合が見られるか、楽しみに待ちたい。