宇都宮ブレックス

ジャクソンのファウルアウトが勝負の分かれ目に

サンロッカーズ渋谷vs宇都宮ブレックス第2戦。終盤まで1、2ポゼッション差で推移する接戦となったが、SR渋谷がファウルトラブルに陥ったこともあり、インサイドでわずかに優位に立った宇都宮がフリースロー攻勢で押し切り、67-62で勝利した。

序盤から互いに持ち味であるディフェンスが目立ち、トランジションから得点に繋げるシーンが何度も見られた。ポストにボールを入れさせる前にプレッシャーをかけ、ドライブを仕掛ける相手には執拗にボールに手を出し続けてファンブルを誘うなど、第1クォーターだけで互いに4スティールずつを奪い合う。その中でLJ・ピークのボールプッシュが特に効果的だったこともあり、宇都宮が先行した。

第2クォーター序盤、宇都宮はオールコートプレスにハマり、連続ターンオーバーから失点し同点に追いつかれる。さらに残り4分を切った場面では早くもチームファウルが4に到達してしまった。しかし、それが選手たちの集中力を高めることに繋がり、その後はファウルをゼロに抑え、堅守が復活した宇都宮が16-3と走って前半を終えた。

しかし、安齋竜三ヘッドコーチが「第3クォーターは集中力がなかったり、オフェンスがうまくいかなくてそれがディフェンスに繋がってしまった」と試合後に語ったように、後半の出だしに連続得点を許し、再び同点に追いつかれてしまった。それでも、立て直しに成功すると、その後は同点に追いつかれては突き放すという展開を繰り返し、1、2ポゼッション差で試合が推移していった。

最終クォーター残り1分18秒、ベンドラメ礼生にフリースローを2本決められ62-62の同点に。直後のオフェンス、鵤誠司のシュートが外れ逆転のポゼッションを与えてしまうかに思われたが、ジョシュ・スコットがリバウンド争いでチャールズ・ジャクソンからファウルを誘発した。すでに4つのファウルを犯していたジャクソンがファウルアウトになったことで、宇都宮がインサイドで優位に立った。これで得たフリースローを決めて勝ち越すと、最後まで集中力を切らさずにSR渋谷のオフェンスを防ぎ、ジェフ・ギブスとスコットがしぶとくフリースローで追加点を奪ったことで接戦を制した。

宇都宮ブレックス

伊佐ヘッドコーチの初めての感覚「やっていて楽しいゲームだった」

勝利した安齋ヘッドコーチは「昨日の敗戦から選手たち一人ひとりがステップアップしてくれたおかげで、最後までリバウンドで我慢できた勝利だったと思います」と試合を振り返った。

宇都宮は何度も同点に追いつかれたが、リードを奪って以降は一度も逆転を許さなかった。安齋ヘッドコーチは「チームルールで決めたディフェンスの守り方とリバウンドですね。それしかないです。残り5分くらいは本当に集中してできたんじゃないかと思います。自分たちの良いゲームができました」と語り、充足感を得た様子だった。

一方、SR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは接戦を落とした悔しさを超える手応えを得たようで、「楽しかった」と意外な言葉を発した。「負けてしまいましたけど、勝つチャンスもありましたし、戦えている感触がありました。勝てなかった事実はダメですが、それ以外は選手が宇都宮さんを相手に良いゲームをしたと思います。お互いにミスがあって、良いショットがあって。こういう感覚は初めてなんですけど、やっていて楽しいゲームだったと思います」

互いに最後まで高い集中力を保ち、白熱した試合だったからこそ、伊佐ヘッドコーチは敗れたにもかかわらず楽しさを感じ、安齋ヘッドコーチも確かな手応えを得た。両チームともにライアン・ロシターとライアン・ケリーがいないという特殊な状況ではあったが、その穴を皆でカバーしようする姿勢が随所に見られた。万全の状態でやり合う試合が早く見たい、そう思わせる2試合だった。