ベンドラメ礼生

ベンドラメ礼生のクラッチスリーで決着

サンロッカーズ渋谷が1月30日、宇都宮ブレックスとホームで激突。SR渋谷はライアン・ケリー、宇都宮はライアン・ロシターとエーススコアラーを故障で欠く中、試合は両チームとも最後まで持ち味である激しいディフェンスを前面に押し出す激闘となるが、ベンドラメ礼生が勝負どころで決定力を発揮したSR渋谷が77-71で競り勝った。

第1クォーター、SR渋谷はボールプッシュをする宇都宮のジェフ・ギブスが自陣に入った直後、石井講祐、ベンドラメがダブルチームを仕掛けてターンオーバーを誘い得点に繋げるなど先手を取る。宇都宮もすぐに立て直し、第1クォーターは18-17と互角の展開になる。

第2クォーター序盤、SR渋谷はチャールズ・ジャクソンが豪快なダンクを決めリードを広げつつあったが、ここでバックボードのクロックが故障し、試合が長らく中断に。伊佐勉ヘッドコーチが「影響はありました。良い流れが来ていたのに止まってしまいました。あのアクシデントはマイナスだったと思います」と振り返るように、SR渋谷にとってはアンラッキーだった。それでも終盤にベンドラメがガード陣との阿吽の呼吸によるコンビプレーで連続得点。5点リードで試合を折り返す。

後半に入ると、SR渋谷は前半最後の流れを維持する。ジャクソンのスティールからベンドラメの3ポイントシュート、さらにセカンドチャンスからジャクソンがバスケット・カウントを決め、第3クォーター残り3分50秒で50-40と突き放す。

ここから宇都宮も反撃を開始。テーブス海が積極的なドライブでオフェンスを活性化させると、第4クォーターにはLJ・ピークがこのクォーターだけで14得点と爆発し、残り4分には68-66と逆転に成功する。

しかし、SR渋谷はすぐに追いつくと、終盤になって「最後は基本的に、ディフェンスのマッチアップ優先で構成しました」(伊佐ヘッドコーチ)と、ベンドラメにジャクソン、マカドゥに加え、山内盛久、渡辺竜之佑の5人による堅守がより光る。残り2分、ジェームズ・マイケル・マカドゥがギブスからオフェンスファウルを引き出し、直後に渡辺のドライブで勝ち越し。続く守備で24秒バイオレーションを奪うと、マカドゥのインサイドで突き放す。迎えた残り45秒、ベンドラメがスイッチで対峙した竹内公輔との1対1から値千金の3ポイントシュートを沈めてリードを6点に広げ、激闘に終止符を打った。

サンロッカーズ渋谷

エースが離脱、指揮官の思い「自信がなくなるのは怖かった」

水曜ゲームで川崎ブレイブサンダースにターンオーバー連発による自滅で73-86と敗戦。そこから見事な復活を果たしたSR渋谷の伊佐ヘッドコーチは、この試合を「大事なゲーム」と特に重要視していた。実際、ケリー不在があったにせよジャクソン、マカドゥの両ビッグマンがともに35分出場と、タイムシェアを行うSR渋谷にあっては珍しい起用だったが、それもプラン通りだった。

いつも以上に一戦必勝体制で、結果に強いこだわりを見せた理由を指揮官は次のように語る。「ライアン(ケリー)はウチの中心選手ですが、それでも私からしたら14人のうちのピースの一つでしかないです。彼がいなくて連敗することで、チームの自信がなくなるのは怖かったです。今日はビッグマン2人を35分くらい出しても勝たなければいけない試合でした」

そして、19得点、7アシストと攻撃を牽引したベンドラメは、「礼生がしっかり勝負強さを見せてくれた」と指揮官が称えた最後のビッグショットをこう振り返る。「ピック&ロールを使って攻めようと思っていました。予測はしていなかったのですが、相手がスイッチして来て10秒あったので、時間をじっくり使って攻めたのがあの3ポイントシュートに繋がりました」

また、「川崎戦ではシュートが入りませんでしたが、やっぱり自分の仕事はシュートを打つことです。積極性がなくなったら僕ではなくなるので、そこは吹っ切って入るまで打ち続けようと思って臨みました」と、強気の姿勢がこの結果をもたらした。

宇都宮ブレックス

ロシター不在をどう埋めるか、LJ・ピークへの期待

一方、あと一歩及ばずで連敗となった宇都宮の安齋竜三ヘッドコーチは「前半、ターンオーバーやオフェンスリバウンド、注意したところでやられてしまいましたが、そこを後半に修正してくれました。選手たちはビハインドを負ったとこからよく追いついてくれました」と振り返った後、勝敗を分けたポイントを語る。

「勝負どころで渋谷の選手が決めきったのが大きかったです。こちらはオフェンスをうまくやらせてあげられなかったので、戦術の部分でも明日はしっかりできればと思います」

このオフェンスにおいて鍵となるのはピークだ。帰化枠のロシターが欠場したことは宇都宮にとって彼自身の不在に加え、ピークの起用法にも制限が加えられることになる。

安齋ヘッドコーチは言う。「LJは、マコ(比江島)がいない期間、かなりオフェンスで引っ張ってくれていました。ライアン(ロシター)がいなくなった状況では出せる時間、出せない時間があります。ライアンが最初から試合にいないのは今日が初めてで、前半はLJを生かせていない、後半に長く使えればと感じていました。これは周りの組み合わせも重要なので、ローテーションを変えたりはしました。そこは明日もっと繋いでいければいいという感覚はあります」

実際、前半のピークは9分出場でシュート1本のみの0得点。それが後半は一転して、前述したように第4クォーターでは大暴れだった。宇都宮にとって本日の試合も敗れて3連敗となるのは、地区首位キープのために避けたい。そのためにはピークを序盤から生かすのが大事な要素になってくる。一方、SR渋谷が勝てば、首位と1ゲーム差に肉薄できる。本日の第2戦は、東地区の首位争いの行方を大きく左右する大一番だ。