シェーファー・アヴィ幸樹

シーホース三河は19勝8敗と西地区首位の成績でオールスターブレイクを迎えた。ベテラン主体の古豪に今シーズンから加入したシェーファー・アヴィ幸樹は、22歳の若さながら開幕からスタメンに定着し、着実に良くなっていくチームの変化を肌で感じてきた。好成績を残していながらも、シェーファーは「まだ甘いところがある」と現状に満足していない。

「自分はスポーツ選手なんだとあらためて認識しました」

──三河で迎える初めての年越しはどのように過ごしましたか?

特に長いオフはなかったので練習をしつつ、お店がやっていなかったのでスーパーで買い物をして自分でご飯を作ってという感じでした。お正月だから何かをしたというのはなく、『ガキ使』を見たくらいですね(笑)。

大晦日に練習があるとどこかに行くわけにもいかないですし、去年は東京の実家に帰りましたが、自粛もあって今年は何もしてないですね。ひたすらテレビを見て、みかんを食べて、一人鍋したりしていました。

──自炊することが多いのですか?

年末年始はお店がやっていなかったので自分で作ったというのもありますが、定期的に作るようにはしていて、食に関してはかなり気にしています。外に行く時も揚げ物を減らしたり、夜はあまり炭水化物を取らないとか割と自分で意識してやっています。

──若いですがしっかりしていますね。将来を見据えて行動していることはありますか?

バスケ選手としての時間は限られているので、セカンドキャリアというかバスケ選手が終わった後のことを考えて、株や投資といった勉強は少ししています。父親の影響が強いんです、お金についてずっと言いきかせてくるので。

バスケ選手やアスリートは60歳までできるわけじゃないですし、それこそキャリアがいつ終わるか分からないじゃないですか。何か起こったときに大丈夫なように準備はしておけとお父さんには言われています。お父さんはビジネスで成功しているので、ちょっとうるさいですけど勉強になっています。早いかもしれないですが、その影響で少し意識するようにはしています。

──ゲームの実況動画を配信したりしていますが、そうした行動も将来を見据えた行動の一つなのでしょうか?

それもありますね、選択肢はあって損はないと思うので。芸能活動というか、何かしらできることは増やして不自由のないようにしたいなとは思っています。

──ツイッターで「いろんなことに気づかされた年でした」とつぶやいていましたが、どんなことがありましたか?

めちゃくちゃ深く考えて書いたわけではないんですけど、純粋に自分がプレーできるありがたみを知ったというか。アスリートって子供に夢を与えたり、それなりにお金がもらえるじゃないですか。その分キャリアが短いので合計するとあまり変わらないかもしれないです。それなりにお金がもらえる状況で自分ができること、自分がただただバスケをしているだけじゃダメだと思い、そういう経緯でYouTubeを始めたのもありますし、自分にできることはいろいろやっていかないといけないと思うようになりました。今、自分には少なからず需要があって、10年後、20年後と需要がなくなってくる。自分がスポーツ選手なんだということを今回のコロナであらためて認識しました。

シェーファー・アヴィ幸樹

「純粋にチームが変わって、それが良い方向に向かった」

──現在19勝8敗で西地区首位です。この成績について率直にどのように思いますか?

もう少しで勝てた試合が何試合かあるので、それに関してはもったいないという思いはあります。でも、僕だけじゃないですけど、去年まで良い結果が出ていなかった三河に僕が入って、違うチームになった状況での19勝8敗は自信になります。宇都宮(ブレックス)や川崎といった東地区の上位チームとも1勝1敗で、2連敗していません。そういう意味では間違いなくリーグトップクラスのチームだと思います。

──シェーファー選手の活躍があってこその結果ですね!

そんなわけないじゃないですか(笑)。金丸(晃輔)さんが大活躍していますし、卓さん(川村卓也)もえげつないパーセンテージで決めています。ダバンテ(ガードナー)も頼りになりますし、その中で自分も隙を突いていろいろやらしてもらっています。僕のおかげというわけではなく純粋にチームが変わって、それが良い方向に向かったというのが目に見えて分かるので、それは良かったと思います。

──強豪に勝てる時もあれば、いわゆる格下相手に取りこぼすこともありました。そういった『波』についてはどのようにとらえていますか?

島根スサノオマジックに負けた試合は本当にひどかったです。ただ、そのあたりからチームが変わっていきました。その後、9連勝して、宇都宮と川崎、そしてレバンガ北海道にオーバータイムで負けてしまった試合以外は勝利しています。もうどのチームにも大敗することはないと思っています。

──チームが変わったきっかけのようなものはありますか?

開幕から5連勝したことで逆にぬるくなってしまった部分があったと思います。もちろん5連勝は良いことなんですけど、他のチームも外国籍選手が集まっていない、チームとして成熟していない中での5連勝で別に圧倒的だったわけではないのに、「僕たちは強い」という意識が少なからずあったと思います。流れが悪くなり立て直せなくなった試合が信州(ブレイブウォリアーズ)、島根(スサノオマジック)と2試合続きました。そこでディフェンスをもっと意識しようとチームで話し合ったおかげで、今までオフェンスでしかリズムを作れなかったチームが、少しずつディフェンスでもリズムを作れるようになり、リバウンドから速い展開が出るシーンが増えました。

流れはどちらにも行くので、今までは崩れていたところを今は耐え忍ぶことができるようになってきました。冷静になってちゃんと巻き返す力がついてきたというのが、好調の要因だと思います。

シェーファー・アヴィ幸樹

ディフェンス向上も「まだゆるいと感じます」

──島根に敗れた試合がターニングポイントとなったというわけですね。オフェンスは当然ですが、現在はディフェンスにも手応え十分といった感じでしょうか?

僕が今までに所属していたチームは基本的にディフェンシブなチームで、三河はオフェンス寄りのチームなので仕方がない部分はありますが、序盤と比べるとディフェンスの手応えは間違いなく感じています。

──三河はオフェンスシブなチームでディフェンスに難があるイメージが拭えませんが、具体的にどの部分が甘いと思いますか?

何がダメというわけではないんですけど、コンテストできているシュートとワイドオープンで打たれるシュートは全然違くて、オープンで打たれるシュートは多いと思います。1、2本連続で決められたらその後は絶対に打たせちゃダメだと思うんですけど、そこはまだゆるいと感じます。

──オープンで打たれるのは戦術面の問題なのか、それとも選手の意識の問題なのかどちらでしょう?

戦術面でこの選手は空けて打たせていいというのはもちろんありますが、限度があると思うんです。打たせていいとはいえ、3ポイントラインにいる選手をペイントから守るわけではないですし、そういうところでゆるいと感じることはあります。そういうのが一試合に1、2回あったり、コミニケーションミスも1、2回あると、それが積み重なって結果的にプラスマイナス10点くらいになります。

──なるほど、そうした部分も減ってきてディフェンスで我慢できるようになり、好調が続いています。視界良好といった感じですね。

そうですね(笑)。でも、まだ宇都宮と川崎には1勝1敗ですし、これから千葉(ジェッツ)や(アルバルク)東京など強豪と当たる機会が増えていきます。そういうチームに2連勝できるようになっていかないといけないと思っています。

──では最後に、ファンの方へメッセージをお願いします。

前半戦がほぼ終わって、これから後半戦に入っていきます。見ているファンの方々にとって、今まではハラハラするような試合が多かったと思いますが、今は面白いと思ってもらえるような試合を見せられるようになってきたと思います。これから東の強豪や西地区同士の戦いなど、大事な試合が増えていきます。チャンピオンシップに近づいていくということでもっと成熟していかないといけないですし、日本一に向けてこれから落とせない試合が続くので、後押しをお願いします!