ジェレミー・グラント

グリフィンも称賛「彼の辛抱強さと決断力には驚くよ」

開幕から1勝7敗とスタートダッシュに失敗していたピストンズが、好調のサンズを延長戦の末に110-105で破った。

勝利の立役者となったのはフリーエージェントで加入したばかりのジェレミー・グラントだ。26歳のグラントは、ナゲッツに所属していた昨シーズンの『バブル』でブレイク。ケガ人続出のチームで先発に抜擢されると、持ち前のアスリート能力を生かして攻守にフル回転し、ナゲッツのカンファレンスファイナル進出に貢献した。しかし、彼の役割はあくまでロールプレーヤー。重宝されてもエースの扱いはされず、フリーエージェントとなりピストンズに加わった。

チームは開幕から勝ち星に見放されているが、グラントは昨シーズンのプレーオフでの好調を新天地へと持ち込んでいる。開幕戦を例外とすれば、あとは常にデリック・ローズやブレイク・グリフィンを上回りチームハイの得点を挙げている。ここまで平均24.8得点は、昨シーズンからほぼ倍増という数字だ。

あとはクラッチタイムで得点を奪い、チームを勝利に導くことができれば、名実ともにエースとなれる。それを示したのが、このサンズ戦だった。第2クォーター途中で大量ビハインドを背負いながら、チーム一丸で反撃。こうして接戦に持ち込んだクラッチタイム、ローズはシュートタッチが悪く4得点止まりでベンチに座り、攻守に奮闘していたグリフィンも勝負どころでグラントにボールを託した。

第4クォーター残り1分半からグラントのフリースロー2本、そして一緒に移籍してきたメイソン・プラムリーへのアシストで最後の4点ビハインドを埋めて延長戦に持ち込むと、オーバータイムではデビン・ブッカーとの『エース対決』で上回って8得点を記録。クリス・ポールとブッカーを擁して接戦の強さに定評のあるサンズを打ち負かした。

グラントのために身体を張り、パスを回したグリフィンは「彼の辛抱強さと決断力には驚くよ」とその働きを称える。「特に第4クォーターの最後に追い付いたメイソンへのパスは信じられないほど素晴らしかった。僕らはまだお互いのプレーを学んでいる最中だし、チームとしてこれからもっと良くなると思う」

グラントは2日前のバックス戦に続きシーズンハイの31得点を記録。ただ、前回は負けたが今回は勝つことができた。「接戦を落とすことが多かったから、僕らにとって意味のある勝利だ。ひとまず勝ててホッとしたという気持ちでもある」とグラントは語る。「気持ち良くプレーさせてもらっている。みんなのスペーシング、カッティングの動きが良いから、僕のプレーは楽になる。良いチームプレーができていると思う」

ピストンズのエース、と呼ばれるようになるには、まだまだ多くの実績を積み重ねていく必要がある。サンズ戦のように勝負どころを託される試合もあれば、やはり経験で勝るグリフィンやローズに頼る試合も出てくるだろう。ただ、再建中のピストンズにとってグラントがカギになる存在であることは間違いない。『優れたロールプレーヤー』からエースへと飛躍できるか、まだ26歳のグラントの成長は、ピストンズの今後に大きな意味を持つ。