箕輪クラブU15

被災とコロナのダブルパンチを受けた長野県

中学、クラブチーム、Bリーグのユースとカテゴリーの垣根を越えて、U15世代の日本一を決める『Jr.ウインターカップ2020-21』。大会3日目を迎え、本日から勝利チームは1日に2試合を戦うタフなスケジュールとなった。

もちろん勝負の世界において勝ち負けは大事だ。それでも、現在のコロナ禍では大会に出場すること自体の意義が大きく、長野県代表の箕輪クラブU15は特にそうした思いが強いクラブチームだ。それはコロナの影響を受ける以前に、台風の影響で県大会が中止になる不運があり、部活動ができない時間が長かったためだ。秋山浩ヘッドコーチは言う。

「長野県は一昨年の秋に千曲川の氾濫がありました。被災したチームもあったので開催する時期ではないと、県大会が中止になりました。年が明けてコロナになって、今の3年生は特に厳しい時間を過ごしてきたのです」

箕輪クラブが本格的にクラブチーム化したのは昨年4月のこと。基本的に部活動が終了した生徒の受け皿として存在する。そのため、2年生以下の選手も所属するが、今大会に参加したのは3年生のみだ。「もっと部活がしたかったとか、バスケットをもっとやりたいと思っていた子が集まりました。リクルートはしておらず、県や地区の選抜のメンバー同士で誘い合ったようで、それで集まりました」

箕輪クラブU15

「1試合でも多くやらせてあげたかったです」

琉球ゴールデンキングスU15、HOOPS4HOPEを撃破し、3回戦へ進出したが、青龍U15バスケットボールクラブに52-59で敗れ、箕輪クラブの挑戦は終わった。2桁のビハインドを覆すも再逆転されての敗戦に「この点差での負けはベンチの責任だと思うので、子供たちは本当によく頑張ってくれたと思います。もうちょっと乗れれば……」と、悔しさを噛みしめた。

活動は平日1日と週末のみ。バスケができる時間が限られていたこともあり、純粋にバスケがしたいと思う選手の気持ちを尊重した指導方針を取った。「部活ではないのでノビノビやらせたいと思い、ああしろ、こうしろとは言わなかったです」

だが、結果的に組織立ったプレーの引き出しの少なさが終盤の失速を招き、「これで良かったのか? 1試合でも多くやらせてあげたかったです」と秋山ヘッドコーチは悔やんだ。

それでも、バスケがやりたくてもできない時間を過ごしてきた選手たちを大舞台に立たせたことへの達成感も同時に感じ、こみ上げてきたモノを抑えることができなかった。「あの子たちはバスケを続けることができたので、大会をやっていただいて良かったです。これが来年も再来年も続けば、希望を持ってプレーできます。良い意味で受け皿としてのクラブ化が進んで、いろんな地域でバスケがやりたいと思う子がやれる環境が整えばいいと思います」