クリスチャン・ウッド

トラブルに見舞われるロケッツにおけるポジティブな話題に

ハーデン問題で揺れるロケッツだが、数少ないポジティブな話題が今シーズンから加入したクリスチャン・ウッドだ。ウッドはオフに3年4100万ドル(約42億円)の契約を結んでロケッツに加わったが、プロ入り5年目で5つのチームを渡り歩いてきた苦労人だ。

ネバダ州立大学ラスベガス校出身のウッドは2015年のNBAドラフトでどのチームからも指名されなかった。サマーリーグを経てシクサーズとの契約にこぎ着けたが、自由契約となる。そのあとホーネッツ、バックス、ペリカンズと渡り歩き、昨シーズンのピストンズで62試合に出場し平均13.1得点、6.3リバウンドと活躍。キャリアで初めて大型契約を手にした。

2015年のドラフト当日、ウッドの家族や友人は指名を祝福するためラスベガスのホテルに集まっていた。しかし、どの球団からも指名されず、ドラフトが終わるとウッドはパーティー会場を離れた。その時、彼は母親に「ごめん。僕は負け犬だ」と言ったという。

ウッドの母は、うなだれる息子に次のような言葉をかけた。「あなたは負け犬なんかじゃない。ドラフトで指名されなかったからといって負け犬ではありません。不思議なもので、神様は きっとチャンスを用意してくださっているはず。だから顔を上げなさい。顔を上げて涙を拭いて。あなたのキャリアはここから前進していくから大丈夫」

ウッドの母親は間違ってはいなかった。ロケッツは延期になった試合もあり、開幕からまだ2試合しか消化していないが、ウッドは平均27.0得点、8.0リバウンドと新天地で躍動している。超スモールボールを突き詰めるためにビッグマンを全員放出してしまったロケッツが方針転換した今、ウッドはゴール下の貴重な戦力となっている。デマーカス・カズンズが新型コロナのプロトコルから復帰すればロケッツのフロントコートは相手チームにとっては脅威になるはずだ。

ウッドにとって今シーズンは勝負の年。ジェームズ・ハーデンのトレード要求に新型コロナウイルス感染と相次いでトラブルに見舞われるロケッツだが、ウッズはようやくつかんだチャンスをモノにするひたむきな気持ちしかないはず。今シーズンのサプライズになる可能性を秘めた存在であり、目が離せない。