中部大学第一

葉山隆誠「自分たちのバスケットを出し切れなかった」

男子の初戦20試合が行われたウインターカップ2日目。注目校の福岡第一や仙台大学附属明成、東山などが順当に初戦を突破したが、2018年大会の準優勝校で6年連続出場の中部大学第一が初戦敗退となり姿を消した。

中部大学第一は昨年ベスト4に進出した北陸と対戦。前半は拮抗した戦いを繰り広げたが、後半の入りで北陸を勢いに乗せてしまい、最後まで点差を縮めることができずに72-85で敗れた。

今大会の先発メンバーは2年生が主体で、唯一の3年生であるキャプテンの葉山隆誠は、「負けて悔しいですけど、自分たちのバスケットを出し切れない状態で終わってしまったので、そこが本当に悔しいです」と試合後に語り、こう続けた。「僕たちは全国に出るだけのチームじゃなくて、優勝を狙いにいけるチームだと思うので、もっと自分たちのバスケをやった方が良かったです」

中部大学第一は今年の3年生が1年生の時に決勝で福岡第一に敗れて、先輩たちが悔し涙を流した姿を見ている。そのためリベンジの気持ちが強かったが、高校最後の大会は初戦敗退で終わってしまった。

それでも今年の中部大学第一は、主力メンバーだけでなくロスター15名のうち3年生は葉山を含めて5人のみ。あとは2年生が7人に1年生が3名と若いチームだ。葉山は言う。「今年のチームは2年生が多くて、留学生も(田中)流嘉洲も(福田)健人も(谷口)歩も試合で助けてくれたり、練習中も盛り上げてくれたりして、本当に助けてもらう部分が多かったです。そういうことを2年生のうちからできていたということは、自分たちの代になってもさらにそれを続けていけばもっと良いチームを作れると思うので、最後の大会で悔いがないように戦ってほしいです」

中部大学第一

頑張っただけでは済まされない「世の中に出るのはこの結果」

今年の中部大学第一は東海ブロックの代表校としてウインターカップに出場したため県予選が免除となった。ウインターカップ本番が約10カ月ぶりの公式戦となり試合勘が鈍っていてもおかしくはなく、常田健コーチは試合勘について「それは今日やってみて初めて分かりましたが、いきなりこのレベルの戦いだとちょっと難しかったです」と振り返った。

愛知県では他競技ではあるが試合での濃厚接触ということが早い段階で出たため、対外試合をほとんどすることができなかったという。常田コーチは「それは桜花さんも同じですし、仕方がないことです」とした上で、「でも、やっぱりちょっと長すぎました」と胸の内を明かした。

「新人戦から長く公式戦がなくて、なおかつ一発目が本当に実力があるチームだったので、私自身もどういう調整をしたら良いかという部分で二転三転しましたし、練習試合の変更や遠征が急遽中止になることもありました。そういう状況の中で、ベテランの先生方のチームを作る術に私自身が追いついていないと、正直思いました。こういう状況の中で勝っていくチームはすごいと思いますし、北陸高校さんは3年生がしっかりしていて勝負どころをよく知っていました」

今大会では初戦敗退となったが、下級生主体のチームでウインターカップを経験できたことは今後への糧となる。それでも常田コーチは、勝負の世界の難しさについて触れた。「彼らがどう感じているかですが、自分たちの思うようにいかないことが愛知県に戻っても続くと思います。そういう中で言い訳をしないで、いろいろなことをもっと見直していかないと、この1試合ですべてを判断されてしまう。彼らがどれぐらい頑張って、どれぐらい苦しい思いをして努力してきたか。どのチームも同じですが、やはり世の中に出るのは結果なので、やっぱり結果を出さないといけないですし、難しい世界だと感じています」

2018年大会の準優勝から一変、昨年は2回戦敗退、そして今年は初戦敗退と苦しい状況が続いている。日本一を目指すチームだからこそ、ウインターカップ出場だけでは終わってはいけない。今大会で主力として戦った2年生メンバーが作る新チームの新たな戦いに期待したい。