河村勇輝

「横浜のY、勇輝のY、喜びのY」

横浜ビー・コルセアーズは特別指定選手として加入した河村勇輝の入団記者会見を行った。

会見には代表取締役兼GMの植田哲也、指揮官のカイル・ミリングも登壇した。植田GMは河村の獲得に至った経緯をこのように説明した。「編成チームのリストの中に河村選手の名前があり、U16で活躍したこと、福岡第一での実績、高校生でBリーグデビューしたこともあって注目していました。サイズは大きくはないですけど、選手の力を引き出せることができ、我々が求めている速い展開を作り出すことができます。バスケの対する姿勢も素晴らしいので、獲得しました」

また、植田GMは「メディアを賑わせた圧倒的なバリューを持っている」ことも獲得の理由に挙げた。河村は福岡第一高校在籍中の昨年に、特別指定選手として三遠ネオフェニックスに入団し、B1の最年少出場、最年少得点記録を更新した。こうしたメディア的価値が高いことは魅力の一つに違いない。

ミリングヘッドコーチは「彼の獲得を決断するまでに時間はかからなかった」と明かした。「彼一人が活躍しても試合には勝てないですし、彼に頼るわけではないですが、我々は惜しい試合が続いおり、足りなかった1ピースになると思っています。すでに2回合流しましたが、すぐにフィットできると感じました。プレーメーカーが増えるのは大きいです」

主役の河村は入団の意気込みを求められ、色紙に『Y』の文字を記した。「横浜のY、勇輝のY、喜びのYの頭文字を取りました。ビーコルブースターや小さな子供たちに希望や勇気、よろこびを与えられる選手になりたいと思っています」

河村は次節の島根スサノオマジック戦から出場する予定で、来年の1月2日と3日の滋賀レイクスターズ戦でホームデビューを飾る予定だ。「年始からホームゲームが始まり、自分としても挑戦の年となると思っています。この3カ月、横浜ビーコルセアーズの一因として、1勝でも多くチームの勝利に貢献できるように頑張っていきたい」と、新年の抱負を力強く語った。

河村勇輝

「昨シーズンで1勝することの難しさを痛感しました」

河村の実績や人気を考えれば、彼を欲しがるクラブは他にもいたことは容易に想像できる。何クラブからのオファーがあったかの明言は避けたが、「複数あったことは間違いない」と明かした。

その中で横浜を選んだ理由は、東地区に在籍し『文武両道』を実現しやすい環境だからだという。「昨シーズンは西地区で試合をさせてもらって、今回は東地区で試合を重ねたいという気持ちがありました。また、自分はまだ学生で勉学にも励まないといけません。『文武両道』をモットーに勉学とバスケットを両立できる環境があるのが横浜ビー・コルセアーズさんでした」

河村は会見を通じて、「一つでも多くのチームの勝利に貢献したい」という言葉を多く発した。三遠に在籍した昨シーズンの河村は、11試合中7試合で先発を務め、平均22.2分間のプレータイムで12.6得点、3.1アシスト、1.5スティールを記録した。高校生とは思えない素晴らしい数字を残したが、その一方でチームは11試合中2勝しか挙げられなかった。「昨シーズンで1勝することの難しさを痛感しました」との思いがあるからこそ、その言葉を多用したのだ。

現在横浜は7勝16敗、東地区8位と苦しい戦いを強いられている。河村が加入することで勝ち星が倍増するほどB1の舞台は甘くないが、チーム内競争も活性化し、起爆剤となることは間違いないだろう。東海大でフィジカル強化に成功し、プレーの幅も広がった。選手として一回り大きくなった河村の挑戦がこれから始まる。