東海大

インサイドを制し、トランジションが機能した東海大

12月13日、東海大と筑波大によるインカレの男子決勝が行われ、チームの根幹である激しい強度のディフェンスが最後まで崩れなかった東海大が75-57で快勝し、2年ぶり6回目の大学日本一に輝いた。

試合序盤は両チームともに素晴らしい守備で相手オフェンスを封じ込め、得点がなかなか入らないロースコアの立ち上がりとなる。その中でも東海大はキャプテンである津屋一球のドライブなどでリードを奪うと、ベンチスタートの河村勇輝が交代早々から活躍する。

最初のボールタッチでいきなり3ポイントシュートを沈めた河村は、続いてゴール下へのドライブで守備を引きつけてノーマークを作りだし、八村阿蓮のイージーシュートをお膳立て。これで東海大が11-2と先手を取るが、筑波大もエース山口颯斗のインサイドアタック、終了間際には中田嵩基が3ポイントシュート成功と応戦し、東海大の13-10と互角で終えた。

第2クォーターに入っても互いに譲らない接戦が続くが、大倉颯太や西田優大のドライブなどで東海大が着実に加点していく一方、筑波大はインサイドを攻めきれない。そんな中、東海大はゴール下で八村がバスケット・カウントを獲得。これで得たフリースローを外すが、リバウンドを佐土原遼が押し込み、結果的には4点プレーになるなど、ゴール下を制することで36-24と一気にリードを広げた。

後半に入り、流れを変えたい筑波大はディフェンスから積極的に仕掛けていく。しかし、「第3クォーターでそれがうまくいかなくて空回りしてしまいました。うまくいった時には13点差にまで追い上げましたが、リーグ戦が中止になるなど、実戦がなかったので経験値が揃っているチームが盤石だったのかと感じました」と吉田健司ヘッドコーチが振り返るように、実戦で十分に磨き上げることができなかった影響からその仕掛けは不発に終わった。

その隙を突いた東海大は最大の武器である堅守からのトランジションが爆発し、第3クォーター開始直後から怒涛の6連続得点で試合の主導権を完全につかんだ。筑波大も今大会ここまで出番が少なかった横地聖真がコーナーから連続アウトサイドシュートを決め、盛り上がる場面もあったが、流れを大きく変えるまでには至らない。第4クォーターは2桁リードを保つ危なげない展開で逃げ切り、東海大が王座奪還を果たした。

河村勇輝

「ディフェンスから速く攻める」を貫いた末の栄冠

東海大の陸川章ヘッドコーチは勝因に堅守を強調した。「今日はディフェンス勝負、我慢比べになるよと言っていて、最初は得点が入らなかったですがディフェンスから流れを作れたこと、前半にリードしたことが大きかったと思います。また、後半の始まる前、戦術に長けている吉田監督はチェンジングなど色々と仕掛けてきますが、『我々のやることをやろう。ディフェンスから速く攻める。ディフェンスを崩してはいけない』と伝えました」

一方、惜しくも連覇を逃した吉田ヘッドコーチはこう振り返る。「準決勝までの平均得点は、延長戦を含めて60点台でした。だから失点は60点台の前半に持ってこないと、勝敗に対しては厳しいと話していました。また、足にきていて、入るべき外のノーマークのシュートが入らなかったです。連戦で疲労がたまるトーナメントの決勝ではありがちなものが出てしまいました。そこでインサイドの得点能力があるのが東海さんで、その差が出てしまった」

守備の強度とインサイドの攻防で優位に立った東海大が押し切った決勝戦となった。筑波大はベスト8、ベスト4と2試合連続で延長戦を戦い、さらにキャプテンで司令塔の菅原暉がベスト8で故障から戦線離脱と満身創痍だった。一方の東海大は危なげなく決勝まで勝ち進み、余力を残していたこともこの結果に大きく影響した。

また、吉田ヘッドコーチも語っていたように、コロナ禍で実戦が大きく減ったことで、各チームとも下級生を試合で使って成長させることが思うようにできなかった。昨シーズンから中心選手がほぼ変わらない東海大は経験値で他チームの一歩上を行っていたことも大きなアドバンテージとなった。選手層、経験など東海大が総合力の高さを存分に発揮し、勝つべくして勝った今年のインカレだった。