シェーファー・アヴィ幸樹

ハミルトンの3ポイントシュートを封じて主導権を握る

滋賀レイクスターズとシーホース三河の今シーズン初顔合わせ。シェーファー・アヴィ幸樹と高橋耕陽にとっては、昨シーズンにプレーした古巣、ウカルちゃんアリーナで移籍後初の試合となった。

滋賀はシェーファーと高橋に限らず昨シーズンの主力がごっそり抜けたが、バイウィークまでの15試合を6勝9敗でまとめ、シーズン再開となった先週の広島ドラゴンフライズ戦ではBリーグになってクラブ最多得点を更新する109-97で勝利。これまでの守って競り勝つスタイルから、打ち合いで勝てるチームになりつつある。その象徴が新加入のジョーダン・ハミルトンだ。合流こそ遅れたが、デビュー戦から12試合で平均22.8得点とリーグトップクラスの得点力を発揮している。

今日の試合でも、そのハミルトンのシュート力が猛威を振るった。味方のスクリーンを上手く使い、またオープンでパスを呼び、さらには自分で持ち上がってそのままと、次々と放つ3ポイントシュートを決めていく。試合開始から7分半で6本中5本の3ポイントシュートを決めたハミルトンの驚異的な決定力が決め手となり、滋賀が打ち合いで三河を上回る立ち上がりとなった。

3ポイントラインより手前からでも迷わず打つハミルトンのロングスリーは、ダバンテ・ガードナーやシェーファーの出足ではチェックが届かない。こうして三河はハミルトンを抑えられる唯一の選手、シェーン・ウィティングトンをコートに送り出すため、得点源のガードナーをベンチに下げざるを得なかった。第1クォーターは滋賀が30-22とリード。自分たちの思い通りの展開に試合を持っていった面も考慮すれば、スコア以上に滋賀のペースだった。

しかし、その後は三河が完全に主導権を握る。ウィティングトンがハミルトンにしつこいマークでシュートを打たせず、ガードナー不在の時間帯は琉球ゴールデンキングスに競り勝った前節と同様に、人とボールを動かして滋賀のディフェンスを揺さぶり、イージーシュートのチャンスを作り出す。ガードナーがコートに戻った後も良い流れは途切れない。金丸晃輔が3ポイントシュートは自分の仕事だと言わんばかりにブザービーターの3ポイントシュートを決めて締めた第2クォーターのスコアは30-14。ただオフェンスで打ち勝つだけでなく、滋賀の攻めも封じる完璧な逆転劇だった。

前田怜緒

滋賀は奮闘も報われず、大量失点を喫して敗戦

第3クォーター、10点前後のビハインドのある滋賀はハミルトンをフル出場させて追い上げを図る。だが、三河はウィティングトンが見せた『ハミルトンの抑え方』を、試合序盤に全く抑えられなかったシェーファーも実行することでハミルトンにストレスを与え続ける。3ポイントシュートは当たれば強力だが、決まらないのに淡白に打ってしまう悪循環にハマることもある。滋賀は立ち上がりの良いイメージを持ったまま3ポイントシュートを打ち続けたが、第2クォーターが7本中1本成功、第3クォーターは6本打って成功なし。

センターのアンガス・ブラントがゴール下のシュートをしぶとく決め続けていたにもかかわらず、点差は開く一方だった。第4クォーターにはジョナサン・オクテウス、谷口光貴に頓宮裕人とベンチメンバーが奮闘したが、第4クォーター最初のプレーで24点のビハインドを背負っては、挽回は難しい。結局、三河が96-81で快勝している。

第1クォーターに15得点を奪ったハミルトンも、終わってみれば20得点と彼にとっては平凡なスタッツに終わった。逆に試合序盤はハミルトンを止められなかったシェーファーは、ディフェンスは途中で立て直し、オフェンスは終始好調。3ポイントシュートに速攻、合わせのパスを呼び込んでのダンクなど多彩なフィニッシュで、キャリアハイの20得点をマーク。古巣に見事な『恩返し』をしてみせた。

シェーファーは「古巣のアリーナでやるのは今回が初めてだったので、温かく迎えていただいてうれしかったです」と、拍手で迎えてくれたレイクスターズのファンにまず感謝すると、得点については「自分の役割は分かりやすくて、オフェンスに優れた選手が多い中で、隙を突いて点を取らせてもらっている」と彼らしく謙遜したコメントを残した。それでもこの日はフィールドゴール11本中9本成功と、チャンスを確実に得点に繋げる頼もしいパフォーマンスだった。

三河はこれで4連勝。前の試合は5人が2桁得点を記録し、川村卓也が「2桁得点が4、5人いるゲームができればウチは強い。これを続けることがポイント」と語っていたが、この試合ではシェーファー、ガードナー、金丸に加えてウィティングトンと川村の5人が2桁得点を記録した。チーム再編から苦しいシーズンが続いた三河だが、強豪の姿を取り戻しつつある。