デマーカス・カズンズ

「目の前の困難を乗り越えることで、次の試練に立ち向かう準備が整う」

わずか1年半の間に左足アキレス腱断裂、左大腿四頭筋断裂、そして左膝前十字靭帯断裂という選手生命を脅かす大ケガに見舞われたデマーカス・カズンズは、ロケッツと契約を結んだ。

しかし、その契約内容はトレーニングキャンプ参加を主としたもので、開幕ロスター入りを果たしたとしても無保証のまま。2021年2月27日まで在籍できた暁には、シーズン終了までの契約が保証されるという厳しいものだ。

ケガをする前は『リーグ最強センター』と呼ばれたカズンズだが、度重なる不運に心が折れかけたという。しかし彼は、自分を含め6人の子供を育てた母親の背中から耐えることを学んでいた。「生い立ちも関係していると思うけれど、母は6人の子供を育てるために2つの仕事を掛け持ちしていた。そういう母を見てきた自分が、目の前に困難なことがあっても不満なんて言うわけがない。人生は困難なことで溢れている。それらを乗り越えてみせる」と会見で語ったカズンズだが、本音も包み隠さなかった。

「つらくなかったと言ったら嘘になる。でも、こういう困難を乗り越えるために生まれてきたのだろうね。どうにかして戦って、打ち勝ってきた。人生でつらい時期だったけれど自分自身について学べたし、多くの部分で成長できたと思っている。人それぞれ異なる人生で、僕の人生はこういう運命だった。どんなパンチにだって対応してみせる」

「きっと、多くの人があきらめていたような状況を経験したと思う。自分にとっては教訓になった。目の前の困難を乗り越えることで、次の試練に立ち向かう準備が整う。自分だけがつらい目に遭っているわけじゃない。最悪の状況でもなかった。ただ、困難と戦って乗り越えるだけだ」

ロケッツはウィザーズとのトレードでジョン・ウォールを獲得したばかりで、彼とケンタッキー大時代にチームメートだったカズンズは「いつか実現させたいと2人で語り合っていたことだから、とてもうれしい。いつかNBAで一緒にやりたいとずっと言っていたし、僕たちにとっての夢でもあった」と再会を喜んだ。

コンディションさえ維持できれば、開幕ロスター入りは間違いないだろう。故障明けのためプレータイムは制限されるだろうが、ロケッツにカズンズが絡むことでどういうケミストリーが生まれるのか楽しみだ。