ラッセル・ウェストブルック

八村塁にとってウェストブルックとのプレーは新たな成長の機会?

かねてから球団に退団を要求していると噂されていたラッセル・ウェストブルックとジョン・ウォールのトレードが成立したと『ESPN』が報じた。ウェストブルックがウィザーズに行き、ジョン・ウォールと2023年の1巡目指名権がロケッツへと渡る。

ウェストブルックは、GMとヘッドコーチが揃ってチームを去るロケッツの体制変更に不信感を抱いていた。そしてウォールはアキレス腱断裂の大ケガから復帰するところだが、GMの「ウィザーズはブラッドリー・ビールのチーム」という発言に反発していたとされている。ウィザーズはこの噂を否定していたが、『チームの顔』であるウォールをこのタイミングでトレードしたのは、関係修復が不可能だったということだろう。

ロケッツはエースのジェームズ・ハーデンも、ウェストブルックと同様に球団に不信感を抱いているとされる。ウォールは長期離脱からの復帰で、どこまでのパフォーマンスを出せるか未知数。ハーデンを翻意させるのは難しくなったと見るべきだろう。

ウィザーズではビールとウェストブルックの超強力バックコートが誕生する。昨シーズンはビールが30.5得点(リーグ2位)、ウェストブルックが27.2得点(リーグ7位)を記録。2人の個性を生かすチームオフェンスを構築するのは簡単ではないが、ウォールとビールが健在だった時を上回るデュオになると期待される。

気になるのは八村塁への影響だ。ビールとウェストブルックが同時にコートに立てばいくらでも相手ディフェンスを切り崩せるだろうし、常にどちらか1人はコートに残ると考えれば、その選手を軸にオフェンスは組み立てられるため、昨シーズンのように八村が個人でゴール下をこじ開けなければならないシーンは激減する。八村がメインとなるオフェンスが減る一方で、彼ら2人が切り崩してコーナーで待つ八村にパスが回ってくる機会は増えるはずで、キャッチ&シュートのチャンスをどれだけ高確率で決められるかが、評価を大きく左右することになりそうだ。

ウェストブルックはワンマンプレーヤーのイメージもあるが、実際は強力な個性でチームを引っ張る真のリーダーだ。八村とはジョーダンブランドの仲間でもある。ウェストブルックと一緒にプレーする若手は、彼を間近で見ることでハードワークの大切さやプロフェッショナル精神といった基準が引き上げられ、成長する印象も強い。

ウォール&ビールの時代が終わったウィザーズは、新しい章に入る。どんなバスケットを展開するのか楽しみだ。そしてロケッツは挽回の一手を打てるだろうか。いずれにしてもまだまだ大型トレードの可能性はあり、目が離せない。