ジョン・ウォール

ウォールの残留と完全復活が絶対条件

NBAの各チームは12月1日からトレーニングキャンプをスタートさせ、プレシーズンマッチが11日、レギュラーシーズン開幕が22日と、ドラフト、フリーエージェンシー解禁から1カ月もしない間に新シーズンを迎える異例のオフとなった。

どの球団も慌ただしく開幕に向けた準備を進めているところだが、他のチームよりも大きな課題を抱えているのがウィザーズだ。チームリーダーのジョン・ウォールはトレードを要求しているとされる。トミー・シェパードGMの「ウィザーズはビールのチーム」という発言にプライドを傷付けられたのが原因だ。シェパードGMはこの噂を否定し、ウォール本人はノーコメントを貫いている。

ウォールの復活を前提とすれば、エースへと成長したブラッドリー・ビールとウォールのバックコートコンビが復活する。昨シーズンに急成長を見せたインサイドの2人、八村塁とトーマス・ブライアントは先発をこなす力が十分にある。

3番ポジションではダービス・ベルターンズと契約延長に合意したが、ディフェンスにやや難がある選手のため、セカンドユニットで文字通り『飛び道具』として起用した方が効果的だろう。先日のドラフト1巡目9位で指名されたイスラエル出身のデニ・アブディヤは、シュートに改善の余地があるが、206cmのサイズに加えてパスとハンドリングの能力が高く、大型プレーメーカーとして活躍が期待される。アブディヤが昨年の1巡目9位指名で即戦力の働きを見せた八村と同じぐらい活躍し、トロイ・ブラウンJr.、アイザック・ボンガも含めてローテーションで起用できるようになれば、チームの厚みは増す。

球団としては、最も頼りになるはずのリーダーの存在が悩みの種になってしまっている。トレード志願の騒動がなくても、アキレス腱断裂から約2年ぶりのカムバックを待つウォールがどれだけのパフォーマンスを見せられるかは未知数だ。ウォールが実戦形式の練習でプレーしている動画がSNSで出回っているが、NBA選手相手の実戦でなければケガの回復具合を評価することはできない。しかも大型契約を抱えているため、彼自身がトレードを志願したところで積極的に獲得に動くチームはいない。もし実際にトレードに踏み切るとなれば、足元を見られるのは避けられない。

ウォールとビールのコンビが復活すれば、昨シーズンよりも上の成績は見込める。若手が期待通りの成長を続ければ、さらに上も狙える。特にスモールフォワードのポジションの競争が激しくなることで、チーム力は底上げされるはず。3シーズンぶりのプレーオフ進出はノルマで、その先を狙いたい。だからこそ、チームを落ち着かせる意味でも始動の前にウォールの問題は片付けておくのが望ましい。

このままトレーニングキャンプが始まればウォールの口からトレードについて語られることになるだろう。その前に関係を改善してチーム一丸で正しい方向へと最初の一歩を踏み出せるかどうか。この時点での対応が、ウィザーズの浮沈を左右する。