セス・カリー

インサイドの戦力を整理し、ベン・シモンズの得意なスタイルへ

多くのトレードが発生した今年のNBAドラフト。その中で目立った動きの一つがシクサーズの『方針転換』でした。ダニー・グリーンをサンダーから、セス・カリーをマブスから獲得し、21位でケンタッキー大のシューティングガードであるタイロン・マキシーを指名。一気にシューターを増やしたのです。

シクサーズは昨シーズンの3ポイントアテンプト数が22位と、あまりシューターを活用してこなかったチームです。それだけに、新たにフロントに加わった元ロケッツのダリル・モーリーの影響が強い補強にも見えます。同じくシュートが上手く得点力のあるザック・ラビーンを獲得する噂もありましたが、ここまでの動きはスター選手をかき集めるのではなく、エースのパスからフィニッシュできる選手を増やしており、ベン・シモンズとジョエル・エンビードの周囲を固める選手を見直したい方針が読み取れます。

放出された主力はリーグ屈指のペリメーターディフェンダーであるジョシュ・リチャードソンとインサイドの万能選手であるアル・ホーフォード。ディフェンスとビッグマンで勝負に行った昨シーズンとの違いが明確に出ています。駒が余っていたインサイドの戦力を整理できたのはポジティブですが、こうして方針が大きく振れるのはネガティブな意味でシクサーズらしさに溢れています。またも戦術を組み直すことになるでしょう。

昨シーズンはリバウンド獲得率がバックスに次いでリーグ2位と高く、堅実な試合運びを好みました。ホーフォードがいなくなり、ガードが増えるため、よりシモンズがリバウンドに参加することが望まれ、そこからトランジションに移行する形も増えるでしょう。シモンズは早い展開でこそ真価を発揮するタイプで、好ましい変化と言えそうです。一方でトランジションゲームが増えていくのはエンビードにとっては苦しくなる一面もあります。

ドラフト前はセンターを中心に展開するデビッド・イェーガーをアシスタントコーチに加えたため、エンビードが中心となり、シュート力のないシモンズには少し苦しい動きでした。それに対して今回のドラフトとトレードはシモンズがプレーしやすくなる動きでした。

両エースの特徴に応じた変化があった点ではバランス良く戦力を集めたい意向がくみ取れますが、まだまだオフシーズンは始まったばかり。両エースも含めてさらに変化を求めそうな気配もあります。シモンズとエンビード中心にするのか、それとも新たな大物の獲得に動くのか。新しい形を求めているのは間違いなく、チャンスが来れば躊躇うことなくチームを変革していきそうです。