マーク・ダグノート

各ポジションにいる才能豊かな若手をブレイクさせられるか

シーズン終了後にビリー・ドノバンを解任したサンダーは、後任のヘッドコーチにマーク・ダグノートを据えることを発表した。フロリダ大のヘッドコーチを経てサンダー傘下のGリーグのチームでヘッドコーチを長く務めたダグノートは、今シーズンはドノバンの下でアシスタントコーチを務めていた。

「マークがサンダーのヘッドコーチになったことに感激している。2014年にサンダーに加わってから、組織の中でリーダーシップを発揮してきた。リーダーであり、学び続けるタイプの指導者だ」と、サンダーのサム・プレスティGMはコメントしている。

ダグノートも「この機会を得たことは名誉だ。オクラホマシティでの6年間で、私はサンダーと深く結びつき、故郷と呼ぶ特別なコミュニティを大切にする気持ちを育んできた」と、慣れ親しんだ組織でヘッドコーチのチャンスを得られたことを喜んだ。

ヘッドコーチ探しは難航し、結果的に自分たちの手元にいた人材にヘッドコーチを託したようにも見える。今シーズンのサンダーはプレーオフ1回戦敗退と好成績を残したとは言えないかもしれないが、ラッセル・ウェストブルックを放出して再編へと舵を切った1年目としては上々の内容と結果であり、内部昇格させるぐらいならビリー・ドノバン続投で良かったのかもしれない。

それでもドノバンはブルズの指揮官として新たな挑戦をスタートさせ、サンダーでは若く意欲的なダグノートにチャンスが与えられた。プレスティGMが錬金術のような手腕で若く才能ある選手を集めるサンダーは、若い選手にチャンスを与え、ノビノビと思い切り良くプレーさせることでその実力を引き出し、毎年のようにチーム力を底上げしていくチーム。これまでケビン・デュラント、ウェストブルックとリーグを代表するスター選手が在籍したが、彼らもサンダーで実力を伸ばしてトップへと駆け上がった選手。ビッグネームに頼ったり、戦術で選手を縛るのではなく、思い切ってチャレンジさせるタイプのヘッドコーチが望ましい。そういう意味でサンダーという組織を熟知するダグノートを指揮官に据える『継続路線』の人事は、彼にNBAでのヘッドコーチ経験がないことを考慮しても妥当な選択に思える。

クリス・ポールの去就次第でチームの様相は異なってくるが、デニス・シュルーダーにシェイ・ギルジャス アレクサンダー、ルグエンツ・ドルトと楽しみな逸材が各ポジションにいる。35歳と若いダグノートの下で彼らがどんな成長を見せるか、新体制のサンダーに注目だ。