寺嶋良

「前半の良い流れを後半に引き継げなかった」

京都ハンナリーズは週末に行われたサンロッカーズ渋谷戦に連敗し、2勝10敗と苦しい状況が続いている。

第2戦では最大で15点のリードを奪ったが、後半で29-54と失速し逆転負けを喫した。先発ポイントガードの寺嶋良は「前半良い流れで折り返すことができましたが、後半に渋谷さんのディフェンスプレッシャーに煽られてしまって、自分たちのプレーができなかったことが反省点であり課題です。前半の良い流れを後半に引き継げなかったのが悔しいです」と、試合を振り返った。

京都の小川伸也ヘッドコーチが「第3クォーターに尽きます。相手のプレッシャーに対してうまくエントリーができずに難しいショットを打たされ、走られてイージースコアを取られました」と敗因を語ったように、第3クォーター中盤から一気に流れを持っていかれた。

敗戦の理由でディフェンスで我慢ができないということはよく聞かれるが、今回の京都はオフェンスの失速が敗因に繋がった。「僕たちのオフェンスがタフショットばかりになり、そこから走られてしまって、マッチアップできずに3ポイントを立て続けに決められてしまったのが一番の問題だと思います。オフェンス面で自分たちの気持ち良いシュートが打てなかったのが大きかったです」と、寺嶋も言う。

SR渋谷の代名詞でもある前線からのプレッシャーディフェンスとタイムシェアは、相手にとって大きな脅威だ。その中で寺嶋は31分間のプレーでターンオーバーを0に抑えている。これは高く評価できるはずだが、「個人としてのターンオーバーは0であっても、ターンオーバーに近いようなオフェンスをしてしまったり、チームとして良いオフェンスができなかったので課題ばかりです」と、反省ばかりを口にした。

「点差をつけることができたのは自信にも繋がりました」

寺嶋が「後半の立ち上がりは粘れて、このままいけるかなと思った」と語ったように、第3クォーター残り6分の時点で京都は13点のリードを保っていた。ゾーンディフェンスを攻略されたことやトランジションオフェンスを許したことなど、そこから一気に流れを持っていかれた理由はいくつかあるが、ハーフコートオフェンスが機能しなかったことが最大の要因だった。

ミスは0に抑えたが、SR渋谷のディフェンスの圧力により、視野が狭まったことでタフショットが多くなったと寺嶋は分析した。「前半は相手のディフェンスをしっかり見て、空いているコーナーにボールを飛ばすことができ、それでズレが作れて得点に結びついた。後半は僕自身、プレッシャーを受けてコーナーまで見れなかったです。ボールを運ぶことは平気なんですけど、ウイングに出す時にディナイが厳しいのでそこがかなり負担でした」

チームの司令塔として、そして主力選手として敗戦を正面から受け止める寺嶋。調子を上げている強豪のSR渋谷を相手に、2試合とも第3クォーターまでは互角以上に戦えたことは評価できるはず。特に第2戦では前半で2桁のリードを奪うなど一瞬の爆発力は証明できた。「今まで13点リードで折り返すことはなかったので、こうやって点差をつけることができたのは自信にも繋がりました」と寺嶋も言う。

終盤に崩れてしまう悪癖はチームとして改善する必要がある。もちろん、それが簡単なことではないことも理解している。それでも、若手が多く、生まれ変わったチームには伸びしろしかない。1年目から結果を出し続けている寺嶋には、最も大きな期待が懸かる。