クリス・ポール

クリス・ポールを中心に据えた『継続路線』の可能性は

サンダーのクリス・ポールは今オフの注目株として常に名前が挙がっている。だが、サンダーとの契約はあと2年あり、2年目がプレーヤーオプション。サンダーとしてはトレードの駒と決めつける必要はないはずだ。昨年夏にラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージを放出して新チームで再出発を切ったにもかかわらず、激戦の西地区で44勝28敗と大きく勝ち越して5位でプレーオフに進出したサンダーを再び解体する必要はあるのだろうか?

27歳のデニス・シュルーダーは17.3得点、22歳のシェイ・ギルジャス アレクサンダーは16.3得点と、もう一つステップアップできればエースと呼べる選手になる。アンドレ・ロバーソンは長いリハビリを終えて戦線復帰を果たし、『バブル』ではルーキーのルグエンツ・ドルトがディフェンスマンとして大ブレイクした。フリーエージェントになるダニーロ・ガリナーリの引き留めは難しそうだが、チームをまとめるベテランとしてクリス・ポールとスティーブン・アダムズがいる。現在のロスターを解体せずとも、継続路線で強いチームは作っていけるように思える。

サンダーが解体に向かうと予想される大きな要因が、ヘッドコーチのビリー・ドノバンとの契約を更新しなかったことだ。クリス・ポールは「僕はキャリアの終盤にいるが、35歳になってもレベルの高い競争の中に身を置いて、ドノバンとこのチームメートと一緒にプレーできて本当に良かった」とコメントしている。

今もなお新たなヘッドコーチは決まっていない。ポールのモチベーションをかき立てる指揮官を招聘できればいいが、ヘッドコーチ探しを進めつつ、ポールを始めとする現状の資産を切り売りしてどれだけのリターンを得られるのかを探っているのだろう。

サム・プレスティGMはどんな不利な条件があっても、若くエネルギッシュなチームを作る手腕の持ち主。行き詰ったように見える今の状況からも活路を見いだすはずだ。新ヘッドコーチの人事としてはネッツを解任されたケニー・アトキンソン、スパーズで長くグレッグ・ポポヴィッチのアシスタントを務めたベッキー・ハモンなどが候補に挙がっているが、プレスティGMは「オクラホマシティに情熱を持っているかどうかが最優先事項」とだけコメントしている。

昨シーズンの『良い意味での』サプライズチームが解体されるのは惜しい。プレスティGMはそれを踏まえた上で、持てる資産をフル活用して新しいサンダーを作り上げるはずだ。まずはヘッドコーチ人事の決着を待ちたい。