八村塁

レギュラーシーズンを82試合から72試合に短縮へ

新型コロナウイルスの影響を受けて長い中断期間があり、スケジュールが大幅に遅れた2019-20シーズン終了から半月、『ESPN』はNBAが新シーズン開幕を12月22日で調整中だと伝えた。もともとNBAコミッショナーのアダム・シルバーは、アリーナに観客を入れての試合開催実現に向けて開幕を遅らせる考えを表明しており、1月18日の『マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日』が開幕になるのではないかと予想されていた。

しかし、現在アメリカでは感染の『第2波』が来ており、これから冬を迎えるとあって楽観的予想に基づく計画は立てられないと判断したようだ。今のアメリカではロックダウンこそないものの、多くの自治体は多くの人が集まる集会を禁止する流れで、少なくとも冬の間は無観客試合は避けられなくなりそうだ。

それであれば、開幕を逆に早める案が有効になる。『バブル』でのシーズン終盤は大いに盛り上がったのだが、NBAファイナルの視聴者数は前年に比べて半減。人気チームのレイカーズが優勝したにもかかわらず、視聴者の関心を引くことができなかった。その理由はいくつか考えられるが、シーズンの決着が遅れたことで他のスポーツイベント、特にNFL開幕とバッティングしてしまったことは大きい。入場料収入が見込めない中、放映権収入にもダメージを与えるであろう事態がビジネス的に手痛い打撃であることは間違いない。それを避けるためには開幕を早め、夏の間にシーズンを終えることが必要になる。『ESPN』によればレギュラーシーズンを82試合から72試合に短縮するスケジュールが検討されているとのこと。

これはリーグ側のビジネス的な都合だが、選手の側にもメリットは大きい。ビジネス的なダメージを避けることは、減額もあり得るサラリーキャップの金額を維持する方向に働くし、シーズンが早く終われば東京オリンピックへの参加が可能になる。他のスポーツと日程を重ねたくないというリーグ側の思惑は、選手にとってはオリンピックへの参加を可能にする。

1月中旬に開幕し、例年通りレギュラーシーズン82試合とプレーオフを行うとなれば、完全にオリンピックと日程が重なっていたところ。そうなれば、特にオリンピックへの思い入れが強いアメリカ人以外のインターナショナルプレーヤーの反発は避けられず、この調整もリーグの課題の一つだった。日本も例外ではなく、これが実現すれば八村塁と渡邊雄太の『NBA組』は問題なくオリンピック前に日本代表に合流できる。

もっとも、実現までには来年の経営予測に基づいてサラリーキャップの金額を設定し、選手会の同意を取り付け、NBAドラフトを始めとするシーズンオフにやるべきステップを一つずつこなさなければいけない。感染防止に最大限配慮したスケジュールをどう組むかが一番の課題になりそうだ。

アダム・シルバーは開幕の8週間前には正式な日程を発表すると約束している。12月22日の8週間前は、もう来週に迫っている。