辻直人

「僕の悪い癖というか、高校時代からずっとスロースターター」

川崎ブレイブサンダースは、ホームでの広島ドラゴンフライズ戦に勝利して連勝を5に伸ばした。16日の初戦は17得点、17日の第2戦は16得点と効果的なパフォーマンスで勝利に貢献したのは辻直人だ。

16日の試合、川崎は序盤から広島を突き放して99-64の圧勝を収めた。しかし、17日はコンディション不良によるジョーダン・ヒースの欠場でインサイドの層が薄くなる中、前日の雪辱を期す広島のアグレッシブな姿勢に受け身となり、試合終盤まで続いた接戦を82-80で勝ち切った。

苦しみながも価値ある勝利をものにした一戦を辻はこう振り返る。

「前日に大差で勝った後、広島さんが最初からディフェンスでエナジーを出してきたのに対し、僕たちはふわっと入ってしまった面がありました。そして今日はジョーダンがプレーできなかったです。彼はチームに勢いを与えてくれるディフェンスを見せ、トランジションで走ってくれます。その彼が抜けた分をみんなでカバーする意識があまり持てなくて、ズルズルと行ってしまいました」

「そこをハーフタイムで(佐藤)賢次さん(ヘッドコーチ)からミーティングで言われ、後半はチームとして良い形で入れました。今日のような接戦に勝ち、こういう内容の試合をできたのはチームにとって良い課題となりました」

冒頭で触れたように辻は2日間ともチームの得点源となったが、その中でも目立ったのは爆発力だ。16日は第3クォーターだけで15得点、17日も同じく第3クォーターだけで11得点を荒稼ぎした。

この点について聞くと、「1つのクォーターでチームに勢いを与えられている。今までやってきたことを徐々に出せている結果だと思います」と手応えを感じる一方で、それに満足しない貪欲な姿勢を強調する。「スタートで出た時、最初から爆発することがまだできていない。それは僕の悪い癖というか、高校時代からずっとスロースターターになってしまっているのかなと。そこは出だしからできたらと思います」

辻直人

「昨シーズンには考えてもいなかったくらいの自信」

このように感じることができるのは、昨シーズンと比べて結果を出せているからこそでもある。「まだ、一歩踏み出したかな」という段階だが、「試合を重ねていくにつれて手応えは感じています。こうしてスタッツで結果を残せていることで、昨シーズンには考えてもいなかったくらいの自信は取り戻せています」と確実に調子は上がってきている。

これからのさらなるステップアップに向け、今の辻が意識しているのは強豪相手にどれだけ自分のやりたいプレーを遂行できるか。「優勝するためには東地区で勝ち抜かないといけないです。激しいディフェンスをする上位のチーム相手にどこまでできるのか。それはすごく考えていますし、それをチャレンジしてみたい」

だからこそ次戦となる28日のサンロッカーズ渋谷戦を辻は心待ちにしている。「SR渋谷さんには昨シーズンの天皇杯で負けています。どれだけディフェンスが激しいのは肌で感じていて、その相手にどこまで自分のパフォーマンスが出せるのか楽しみです」

水曜日の試合、辻がどこまでオフェンスで存在感を発揮できるのかは、勝敗を分ける大きな鍵になる。そして、彼の進化がどこまで順調に来ているのか、その試金石となる。