写真提供=JX-ENEOSサンフラワーズ

大学No.1ガードには日本代表での活躍も期待される

新年度を迎え、WJBLの各チームはルーキーを発表した。今シーズンの一番の目玉は、大学No.1ガードの藤岡麻菜美である。リーグ8連覇中の女王JX-ENEOSサンフラワーズに、さらに強力なメンバーが入ってしまったと言えよう。

藤岡は、高校1年の時からすべてのアンダーカテゴリー日本代表に選出された輝かしい経歴の持ち主だ。2009年に新設されたU-16アジア選手権で準優勝し、翌年のU-17世界選手権に出場。すでにWJBLで活躍している宮澤夕貴(JX-ENEOS)や長岡萌映子(富士通レッドウェーブ)、現在アメリカNCAAディヴィジョン1でプレイするヒル理奈(ルイジアナ州立大学3年)らとともに、初めての世界大会で5位入賞を果たした。

2年に一度行われるU-16とU-18のアジア選手権は、1年おきに交互に開催される。ゆえに、1年生でU-16アジア選手権に出場すると、2年後の18歳の時は再びU-16アジア選手権が開催されるので、17歳の時に飛び級で選出されなければU-18アジア選手権へ出場する機会はない。

しかし藤岡の誕生日は2月1日。4月スタートではない国際ルールにおいては、早生まれの選手にチャンスが巡って来る。筑波大学に進んだ2012年に行われたU-18アジア選手権に出場し、準優勝して世界への切符を獲得。翌年はすでにプロとなって活躍する選手も多いU-19世界選手権に出場。予選ラウンドを突破したが、準々決勝でアメリカに67-108と大敗を喫し、8位で大会を終えた。

将来、教員志望の藤岡は筑波大学に進んだことで、4年生の時に初めてユニバーシアード日本代表に選出される。

身長の高い選手や高校界のスター選手の多くが高校卒業後にWJBLに進むため、U-17やU-19世界選手権で好成績を残す女子日本代表も、ユニバーシアードとなると1995年福岡大会以来、予選ラウンドを突破できずにいた。

しかし藤岡が加わっただけでなく、負けず嫌いが揃い、粘り強いバスケットを繰り広げた2015年は、20年ぶりに予選突破を果たす。そして決勝トーナメントではオーストラリアを破る大金星を挙げ、4強入り。準決勝アメリカ戦は40分では決着が付かず、その後2度にわたる延長の末、98-102で惜しくも敗れた。

それでも、大会3連覇中のアメリカに冷や汗をかかせた健闘は称賛に値する。続くロシアとの3位決定戦に敗れ、メダル獲得には至らなかったが、強豪国を本気にさせた素晴らしい戦いを見せた。

国際大会では素晴らしい成績を挙げ続けてきた藤岡だが、国内での優勝経験はない。千葉英和高校では3年生にしてようやく全国大会に出場するのが精一杯。筑波大学時代もケガなどがあり、大学日本一を決めるインカレでは1年生の時にベスト4に入ったきりである。

大学最後のシーズンもインカレ出場を決めたものの、関東リーグ5位という成績で、優勝には遠いと思われていた。しかし準々決勝、関東リーグ1位の優勝候補であった早稲田大学を69-64で退け、準決勝では関西1位の大阪人間科学大学を相手に82-75で勝利。藤岡自身も初となる決勝進出を決めた。

決勝の相手は、関東リーグでは1度も勝つことができなった白鷗大学(関東2位)。持ち前のドライブで16点を挙げた藤岡に牽引された筑波大学は67-64の接戦を制し、日本一に輝いた。

2016年3月に発表されたリオ五輪へ向けた女子日本代表候補の中に藤岡の名前がある。大学1年当時、「4年後にオリンピックがあるので、その時にWJBLばかりのチーム名の中に『筑波大学』を載せたい」と話していた。ユニバーシアードでの活躍や大学No.1の実績を買われ、その目標をたぐり寄せたのだ。

JX−ENEOSには絶対的な司令塔であり、日本代表キャプテンの吉田 亜沙美がいる。23歳のルーキーは、WJBLではすでに中堅クラス。数々の国際経験をしてきた藤岡は、JX-ENEOSでも日本代表でも即戦力として期待される。

毎年のようにアンダーカテゴリーの世界選手権に勝ち進む女子は、次々とWJBLに有望な選手が入ってくる。2020年東京オリンピックの主役としても期待されるルーキーたちの活躍が楽しみだ。

WJBLのルーキーたち

JX−ENEOSサンフラワーズ
藤岡麻菜美(筑波大学/ガード)

富士通レッドウェーブ
村山翠(専修大学/センター、フォワード)
内尾聡菜(福岡大学付属若葉高等学校/センター、フォワード)
中島彩八雲学園高等学校/センター、フォワード)

シャンソン化粧品V・マジック
早坂恵(筑波大学/フォワード)
谷村里佳(筑波大学/センター)
渡邉まりい(山村学園高等学校/フォワード)
渡邊あゆみ(埼玉栄高等学校/ガード)

三菱電機コアラーズ
篠宮杏奈(常葉学園高校/ガード、フォワード)
見崎南美(常葉学園高校/ガード)

アイシン・エイ・ダブリュ ウィングス
板谷日香里(白鴎大学/フォワード)
遠藤桐(桜花学園高校/ガード)

日立ハイテククーガーズ
鈴木知佳(日本体育大学/センター)
永澤果歩(奈良学園大学/センター)
ヌンイラ玲美(奈良学園大学/パワーフォワード)
北村貴(大阪人間科学大学/シューティングガード)
菅原絵梨奈(山梨学院大学/パワーフォワード)

※4月11日現在