安藤誓哉

強引な攻めでミスを連発、リードを守り切れず

昇格組の広島ドラゴンフライズが、第2節で記念すべきB1初のホームゲームを開催した。王者アルバルク東京を相手に思い切りの良いバスケで健闘したものの、71-80で敗れた。

序盤からホームの観客の後押しを受けた広島がリードする。ゾーンディフェンスを多用して相手オフェンスの出足を削ぎ、グレゴリー・エチェニケがインサイドのディフェンスを締めて、リバウンドからトランジションへと持ち込む。速い攻めで存在感を発揮したのがアイザイア・マーフィーだ。トランジションでそのままシュートに持ち込むシーンだけでなく、確率が悪いとされるミドルレンジでも空いたら迷わずシュートを放ち、これを次々と決めて第1クォーターから12得点を荒稼ぎ。A東京は早々にタイムアウトを取り、プレッシャーを務めて相手の勢いを止めようとするが、立て続けにプレスでファウルをコールされて勢いに乗れなかった。

しかし第2クォーターに入るとA東京はディフェンスを立て直す。強引なプレスではなくペースを落ち着かせ、広島の速攻を許さない。第2クォーター以降でマーフィーの得点はわずか2。ハーフコートオフェンスになるとマーフィーが存在感を出せず、良い攻撃の形を作れないままエチェニケとジャマリ・トレイラーが強引にアタックするシーンが目立つように。コートを広く使えずにパスの出しどころがなくなり、ターンオーバーから今度はA東京の速攻を浴びることになった。

それでもアレックス・カークを中心に堅固なインサイドを無理に攻めず、ボールを動かしてミドルジャンパー、特にケアの薄いロング2ポイントシュートを積極的に打ち、決めていくことでリードを保つ。第3クォーターにはファウルトラブルでエチェニケをベンチに下げざるを得ない難しい時間帯も何とか耐えしのぐ。

ただ、王者は攻略の糸口を見つけ出す。エチェニケ不在の時間帯、ケビン・ジョーンズのポストアップをトーマス・ケネディもトレイラーも止められないと見ると、そのプレーをしつこく繰り返す。第4クォーターに入ってエチェニケが戻っても、エチェニケにカークを守らせ、ジョーンズのポストアップを多用した。

第3クォーターの最後に連続得点でリードを奪ったA東京は、終盤の勝負どころで盤石の安定感を発揮。逆に広島は追い付かなければと焦ってしまい、オフェンスではスペーシングができず強引なアタックを繰り返し、ディフェンスではそれまであまりなかった、ドライブ一発で抜かれてレイアップで失点するシーンが増えた。

王者相手に健闘を見せた広島だが、最後まで粘ることはできず。フィールドゴール成功率はA東京の46%に対して50%と上回り、迷わず打ったシュートをよく決めたのだが、ターンオーバーでA東京の8に対して18と、オフェンスで強引な形からミスが続き、シュート試投数で55-75と大きな差がついた。敗因はスペーシングが悪く、コートを広く使ったオフェンスができなかったこと。A東京もまだ本調子とは言えないだけに、明日の第2戦までにスペーシングをどこまで修正できるかが問われる。