シェーファー・アヴィ幸樹

先発出場を果たし攻守に渡りチームに勢いを与える

シーホース三河は、10月3日のサンロッカーズ渋谷との開幕戦に82-78で競り勝ち幸先よいスタートをきった。そして、この試合で見事な繋ぎ役を務め勝利に貢献したのが日本バスケットボール界の若き期待のビッグマン、シェーファー・アヴィ幸樹だ。

現在、三河はコロナ禍の影響によりシェーン・ウィティングトンとカイル・コリンズワースの両外国籍が未だに合流できていない。そのため、外国籍選手追加契約ルールを利用して2選手を獲得した。オフに桜木ジェイアールが引退したこともありインサイドの台所事情は苦しいが、この試合ではシェーファーの奮闘によって、その不安を大きく感じることはなかった。

先発起用されたシェーファーは、開始3分半でいきなりファウル2つと出だしこそつまずいたが、そこからしっかり立て直す。特に第3クォーターは10分間フル出場し、SR渋谷のエースであるライアン・ケリーをマークする中で奮闘。この試合、前半で16得点と波に乗っていたケリーが第3クォーターはフィールドゴール7本中1本成功に終わったのはシェーファーのタフな守備があったからこそ。そして、オフェンスでもピック&ロールからのダイブなど、ゴール下へのアグレッシブな姿勢を示し5得点を挙げた。

このシェーファーの貢献もあって三河は第2クォーターを15-27の劣勢で終えた後、第3クォーターで18-12と盛り返し、試合の主導権を取り戻したと言っても過言ではない。最終的に20分23秒の出場で7得点6リバウンド4アシストと上々の出だしとなったが、本人は三河デビュー戦をこう振り返る。

「前半はファウルトラブルと良くなかったですが、後半はできることをやって貢献できました。前半はプレー時間が短かったので、後半はとにかく走る。いつも以上に走ろうと意識していました。そしてチームが開幕戦を勝利で終えられたことが良かったです」

シェーファー・アヴィ幸樹

「日本人ビッグマンだからと侮られたくはない」

新天地でさっそくの先発スタートとなったが、これは強く意識しているものだ。「今シーズンはスタートで出ることを目指しています。インサイドは外国籍2人の先発が当たり前となっていて、日本人では唯一アルバルク東京の竹内(譲次)選手がスタートで出ています。そういうビッグマンに僕もなりたい。だから今回、スタートになってモチベーションは上がりました」

そして、自身のパフォーマンスについて聞くと「1対1で守るのは元から自信を持っている。ケリー選手にイージーシュートを打たせないことはできました。ただ、それ以外のオフボールの動き、ディフェンスヘルプなどについて課題が出ました」と語り、オフェンスについては次のように続ける。

「昨シーズンも終盤になるにつれてアグレッシブに攻めるように意識していました。それを今シーズンは最初から意識してやっています。特にSR渋谷さんはピック&ロールの守りで前に出てきて、インサイドが空くのでそこを突いて行く。そこはアグレッシブにできました」

三河だけでなく、日本代表でも次代を担うビッグマンのシェーファーにとって、外国籍の不透明な状況があるにせよ開幕戦で先発起用に応え、しっかり結果を残せたのは意味のあること。レギュレーション変更で、外国籍のベンチ登録が1人増えたことで日本人ビッグマンのプレータイム獲得がより難しくなっている中、このままローテーション入りし安定した出場機会をつかむのは大きなステップアップとなる。

ただ、シェーファー自身は、そもそも「日本人ビッグマンとして頑張っている」という括りからの脱却を目指している。

「日本人ビッグマンでNo.1になることを目指していますけど、日本人という枠組みを意識していません。最終的な目標は違います。これから外国籍選手が加入することで、自分の役割、起用法も変わってきて分からないことは多いです。ただ、日本人ビッグマンだからと侮られたくはない。外国人選手と日本人選手という括りはなく、相手にとって怖いビッグマンの一人になれるように頑張りたいです」

この高い志を持つ若武者が、これから外国籍選手との激しいマッチアップを糧にしてどれだけステップアップしていけるのか楽しみだ。