レブロン・ジェームズ

敗れた第3戦で6つを記録したターンオーバーはゼロに

レイカーズvsナゲッツの第4戦は終盤に差し掛かっていた。ビハインドを背負いながら粘りに粘るナゲッツは、ニコラ・ヨキッチがファウルトラブルになってもペースを落とさず、じわじわと点差を縮めていた。レイカーズはリードを保っていたが、攻守の要であるアンソニー・デイビスが足首を痛めて倒れ、プレーを続けたものの精彩を欠いていた。

ナゲッツはジャマール・マレーが絶好調で、激しいマークを受けながらもタフショットをねじ込み続けていた。終盤、タイムアウトを取った際にレブロン・ジェームズがマレーのマークに付くと申し出た。ヘッドコーチのフランク・ボーゲルは言う。「彼からそう言ってきた。私に異存はなかった。レブロンがマークに付くまで、マレーの勢いは何をやっても止められなかったんだ」

マレーの強みはバランス感覚の良さ。ゴール下でプレッシャーを受けて身体が流れても、シュートを打つ手先がブレなければ決めきる力がある。レブロンはファウルにならないよう注意しながらも激しく寄せ、そのシュートを落とさせた。レブロンはマレーとマッチアップして最初のシュートを外させると、そのまま速攻に転じて得点を奪う。その直後にモンテ・モリスがマーキーフ・モリスに突っかけてバスケット・カウントをもぎ取るのだが、その後の3分半でナゲッツはフィールドゴールを一つも決められなかった。

レブロンがマレーを止めたことで、ナゲッツのオフェンスは乱れた。それがレイカーズが混戦を制する決め手となった。

「勝負どころだと分かっていた。彼は特別な才能を持ち、多彩なシュートを打てる。3ポイントシュート、ミッドレンジ、ペイント内のどこにいても脅威だ。だけど、自分のディフェンス力、映像を見て学んだこと、スタッフを信頼していたし、どんな結果が出ても受け止めるつもりだった。チームメートにはマレーは僕が止めると言い、自分のポジションに留まるよう伝えた。何度か止めることができたし、その上でリバウンドを取れたことが大きかった」とレブロンは振り返る。

第3戦で敗れたのは、リバウンドとターンオーバーが原因。6ターンオーバーと自身が敗因となってしまったレブロンは、この試合では8アシストを記録した一方でターンオーバーはなし。「ボールをなるべく早く動かしてオープンでシュートを打てるようにしたい。当然、ターンオーバーをしないことが一番大事だ」と自身のプレーを振り返る。

リバウンドで奮闘したのは先発に抜擢されたドワイト・ハワードだ。「全盛期のドワイトだったね」とレブロンは称賛する。「ウチがシュートをミスした時にリバウンドで頑張り、ペイント内を制圧してくれた。存在感が大きかったよ」

もっとも、ナゲッツは1勝3敗からジャズとクリッパーズを破ってカンファレンスファイナルまで勝ち上がってきたチームだ。ジャズもクリッパーズも油断していたわけではないにもかかわらず、一度勢いに乗ったナゲッツは止められなかった。だが、レブロンは次の第5戦でシリーズを終えるつもりでいる。

「能力を出し切ること。ゲームプランを練って48分間実践すること。それで勝てる」。そう言い残し、レブロンは会見を終えた。