「チャンスを与えられたことに感謝して、全力でやる」

西のカンファレンスファイナル、レイカーズvsナゲッツの初戦。ドワイト・ハワードのプレータイムは16分しかなかったが、13得点3リバウンドを記録。それ以上に大きな仕事は、ニコラ・ヨキッチを抑えてファウルトラブルに追いやったことだ。

ロケッツとのシリーズでは2試合のみの出場で、プレータイムは合わせて16分しかなかった。それでも腐ることなくベンチを盛り上げ、チームメートを鼓舞していたが、かつてのプライドが高くトラブルメーカーだった彼であれば、大事なプレーオフで自分が起用されないことに腹を立て、何らかチームに不都合のある行動に出ていただろう。

しかし、彼はチームの足を引っ張るようなことは何もしなかった。「正直に言うと、ここでは何もやることがない」と『バブル』での滞在が精神的につらいことを、ロケッツを撃破した後の会見で打ち明けただけだ。

「プレーしていない時は本当に難しい。不機嫌になったり、誰かのせいにするのは簡単だよ。だけど、ネガティブな感情はすべて内側にしまいこんで、コートやベンチ、ロッカールームで仲間を応援する。どこにも行くことができずにホテルにいなきゃならない。もうずっと続いているから精神的につらいよ。でも、あと8試合に勝ってチャンピオンになりたい」

そうして迎えたナゲッツとのゲーム。センター不在のスモールバスケットだったロケッツとは違い、ナゲッツ戦ではゲームメークもこなすビッグマンのヨキッチをどう止めるかが焦点となる。ハワードは「チームが勝つためにプレーする。コーチの指示に従うし、チームにとって必要なことをするだけ」と言う。

第2クォーター序盤、レイカーズがリズムに乗りかけたタイミングで投入されたハワードは、ヨキッチを激しくマークしてストレスを与えた。ジャッジに助けられた感はあるが、ボールと関係ないところでヨキッチから2つのファウルを誘発し、ベンチへと追いやる。その後はギャリー・ハリスのレイアップを豪快に叩き落すブロックショットも披露した。

第3クォーター開始とともにファウルトラブルのヨキッチがコートに戻ると、ハワードはそのマークにつき、ほとんど何もさせないうちに個人4つ目のファウルを誘発した。キーマンがこれだけ抑えられ、ファウルが先行してしまっては、ナゲッツの望む試合展開にはならない。あっけないほど簡単に決着がつき、レイカーズが126-114でナゲッツを破った。

ロケッツ戦での戦術的選択に理解を示しながらも、大事な場面で出場機会を与えられたことに「ありがたい」とハワードは言う。「前のシリーズはスモールボールだったから納得していた。このシリーズはそうじゃないから、プレータイムをもらえて良かった」

ヨキッチについては「彼は素晴らしい選手だし、成長する姿を見てきた。抑えるのは大変だ」としつつも「彼への敬意を欠きたくはないが、コートに立てば僕が立ちはだかる。それを教えてやるつもりだ。チームのために集中してプレーする。チャンスを与えられたことに感謝して、全力でやるだけさ」と語る。

レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの『2枚看板』だけでも大変な相手。ここにハワードが加わればレイカーズは特にディフェンス面で難攻不落となる。試合後のヨキッチは明らかに気落ちしており、言葉も少なかったが、ハワードに負けたことは認めなかった。「僕がもう少し我慢強くなる必要があった。試合のスタートは良かったんだ。アグレッシブに行こうという意識も必要なもの。次はもっと良いプレーができるようにするだけだ」

ハワードは若いヨキッチに差を見せ付けるつもりでいるし、ヨキッチもこのまま黙ってはいない。2人のマッチアップはこのシリーズを左右しそうだ。シリーズが進むにつれてヒートアップするのは間違いない。