ジミー・バトラー

「優勝候補に挙げられなくても前に進むだけ」

レギュラーシーズンに最高勝率を記録したバックスが、カンファレンスセミファイナルで敗退した。勝利したのは東の5位でプレーオフに進んだヒート。バックスはエースのヤニス・アデトクンボが足首のケガを抱えながら強行出場した結果、同じ箇所を痛めてこの試合ではついに欠場。アデトクンボを擁するバックスに3勝1敗とリードしていたヒートが、勝利をもぎ取った。

ファーストラウンドのペイサーズも、今回のバックスもケガ人が出て本来の力を発揮できなかったのに対し、ヒートは全員が好調をキープし、チーム力でライバルを押し切っている。ただ、レギュラーシーズンとは全く違うプレッシャーのかかるプレーオフでリーダーシップを発揮し、チームを正しい方向に導くジミー・バトラーの存在感はどの試合でも際立っている。

そのバトラーは全員が全力を出し尽くすヒートのスタイルを大いに気に入り、勝利を喜んだ。「すごく良い勝ち方だった。バスケはチームスポーツで、レギュラーシーズンからこのスタイルを貫いてきた。たくさんの選手がそれぞれの方法で勝利に貢献している。このチームにはカルチャーがある。練習熱心で、試合ではずっとハードワークし続ける。そしてお互い正直に言いたいことを言って次に切り替える。みんな正直に意見をぶつけるけど、言われた側が個人攻撃と受け取ったり根に持ったりしないんだ」

バックスは東カンファレンスの1位で、MVPのアデトクンボを擁するチーム。シリーズが始まる前、またプレーオフが始まる前のヒートは格下と見られていたが、「気にしないよ」とバトラーは言う。「別に誰かが間違っていたと証明する必要はない。自分たちが正しかったと証明すればいいんだ。意見を言う権利は誰にでもあるけど、僕らは自分たちが日々積み重ねてきたものが何かを理解しているし、優勝候補に挙げられなくても前に進むだけ。ヒートらしく戦い続けるだけだ」

バックス相手の勝因を、バトラーはチームワークだと断言する。「全員が普段通りに実力を発揮した。それぞれのポジション、役割、勝つために必要なプレーを理解していた。これは1年を通して努力し続けた成果だ。役割は試合ごとに変わる。例えば(タイラー)ヒーローはプレーメークを任されるとは思っていなかっただろうけど、その準備をしていたからコーチの指示通りにプレーできた。全員が自信と余裕を持って戦い、勝利できたことを誇りに思う」

ヒートのカルチャーを体現する例として名前の挙がったタイラー・ヒーローは、ザイオン・ウイリアムソンやジャ・モラントが去った『バブル』でまだまだ成長を続けているルーキーだ。「彼は真のプロフェッショナルだよ。まだ20歳だから、このリーグでまだ長く活躍できるだろうね。気持ち良くプレーしているし、自信も持っている。怖いもの知らずだから僕みたいに30得点することも可能だろう。彼のそういうところが気に入っているんだ。誰も彼を変えようとはしていない。このまま戦い続ければいい」

https://twitter.com/MiamiHEAT/status/1303524131980353536

これでヒートはカンファレンスファイナルに進出。ラプターズvsセルティックスの結果を待つこととなる。ただ、どちらが勝ち上がって来ようとヒートは自分たちの力に自信を持って全力で戦うだけ。バトラーにも迷いはなく、対戦相手ではなく自分たちの『まだ見ぬベストパフォーマンス』を追い求めている。

「僕たちはまだ48分間全力で戦っていない。最初から最後まで自分たちの力を出し、本来のプレーができればもっと楽に勝てる。まだそういう戦いができていないけど、次のラウンドではそうしなきゃならない。カンファレンスファイナルに向けて自信はあるけど、自信過剰になりたくはない。どちらが来ても強敵だ。ただ、自分たちのスタイルを貫き、相手を恐れないことが大事。僕はどんなマッチアップにも逃げたりしない。それがこのチームのアイデンティティだからね」

バトラーは自分の個人的なことを語りたがらないが、ティンバーウルブズとシクサーズで結果が伴わなかったここ数年と違い、今シーズンはチームと彼の情熱が噛み合って結果も出ていることに満足していないはずはない。ヒートでの1年目で結果を出していることに「驚きはない」と彼は言う。

「このチームは結束が固く、いつも一緒に行動する。お互いの成長のために何をすべきか常に話し合っている。勝利に値するチームだと思う。僕はスタッツを残そうとも有名になろうとも思わない。このチームでチャンピオンになることだけを考えている。そのために今のこのスタイルで戦っているんだ」