マティアス・カルファニ

ウルグアイ出身のマティアス・カルファニは、川崎ブレイブサンダースの昨シーズンの開幕ダッシュを支える存在だった。3番から5番までをこなす204cmのオールラウンダーであり、卓越したバスケットボールIQの持ち主は、川崎の強度の高いバスケットボールを象徴する存在として攻守に渡り活躍していたが、昨年12月下旬に右ひざ前十字靭帯損傷の重傷を負って戦線離脱となった。ケガを治し、川崎に戻って来たカルファニに、新シーズンに懸ける思いを聞いた。

右ひざ前十字靭帯損傷のケガから復帰、リベンジに意欲

──まずは川崎と契約延長した理由を教えてください。

川崎に戻って来たのはリベンジをしたかったからです。昨シーズン、故障により良い形でシーズンを終えることができず、再び川崎で優勝を目指してプレーしたいと思っていました。チームが僕を必要と言ってくれてうれしかったです。

──昨年12月の故障は全治8カ月の重傷となりましたが、ケガをした当初はここまでひどいものだという感触はありましたか。

故障した時は、シーズン途中に復帰できると思っていました。これだけ長くバスケットボールから離れたことは今までなくて、これまではケガをしてもせいぜい1カ月くらいの離脱でした。だから8カ月は本当に長かったし、本当に復帰できるかという不安もありました。今はようやくケガが治り、自主隔離期間を終え、チーム施設でハードなトレーニングができるようになりました。コートでバスケットボールができ、チームメートと一緒に練習できるのは素晴らしいです。だから今はハッピーだし、新シーズンの開幕が待ち切れません。

──今のコンディションはどうですか。開幕に向けて、どのように仕上げていくつもりですか。

復帰に向けたここまでの回復具合には良い手応えを得ています。8カ月のブランクは大きいし、対人練習がずっとできませんでしたが、これから練習を重ねるごとにコンディションは上がっていくと思います。だた、バスケットボールから長く離れていたので焦りは禁物です。すでに他の選手たちは試合と同じ強度でトレーニングをしていますが、今の僕がそれをしてはいけない。ステップ・バイ・ステップで状態を上げていくつもりです。

──川崎のメンバーは昨シーズンとほぼ変わりません。この陣容をどう見ていますか。

素晴らしいメンバーがほとんど残っていて良かったです。昨シーズンの僕たちは天皇杯、リーグの両方で優勝を狙える力を持っていました。この陣容にとても自信を持っています。リーグ全体を見ても日本人選手のタレントが豊富で、大きなアドバンテージになっているし、素晴らしいスタッフもいます。新シーズンも2冠を狙える実力を備えていると思います。ただ、目標を達成するには毎試合ハードに戦い続けないといけません。

マティアス・カルファニ

「自分たちの実力に自信を持ち、チームメートを信頼する」

──カルファニ選手にとって、唯一の新しいチームメートとなるパブロ・アギラール選手の印象を教えてください。2人ともに様々なポジションをこなせて幅広いプレーができるなど、共通点も多い印象です。

母国語のスペイン語で話すことができるのは大きいです(笑)。彼のプレーは川崎の試合、そしてスペインでの試合を見ているので知っているつもりです。彼のスタイルは好きだし、一緒にプレーしたら良い連携が生まれるはず。私は3つのポジションでプレーできるし、彼も複数のポジションをこなせます。一緒にコートに立つことで、攻撃ではオープンな状況を作り出し、良いシュートが打てるはずです。守備でも相手のスクリーンにスイッチで対応できます。僕たちのコンビでいろんなプレーができると思います。

──話は変わりますが、B2の佐賀バルナーズには、アルゼンチンリーグ時代の同僚マルコス・ダニエル・マタ選手が加入しました。彼とは今回のBリーグ行きについて何か話しましたか。

マタとはアルゼンチンのサン・ロレンソで3シーズン一緒にプレーした仲です。素晴らしい選手だし、彼の加入は佐賀だけでなくBリーグ全体のレベルアップにも繋がると思います。佐賀からオファーを受けた際に相談を受けて、日本は素晴らしい場所であり、コート外でも楽しい生活が送れるはずだと伝えました。

──新シーズンは東西2地区制となり、川崎は強豪が多い東地区となります。そのあたりについて意識するところはありますか。

特に気にはなりません。僕たちは自分たちのことに集中すべきで、他のチームのことを考える必要はないと思っています。激しいトレーニングをして、すべての試合でハードにプレーする。そこに集中するだけです。

──新シーズンはどんなプレーでチームに貢献していきたいですか。優勝するためのカギは何になると考えていますか。

昨シーズンのように、チームのためにプレーすることが必要となります。ポジションは3番、4番、5番、どこでも大丈夫です。重要なのは試合に勝つことだけ。そのために多くのシュートを放ち、得点を求められるなら、僕はそうします。今シーズンは外国籍のレギュレーションが変わるので、そこに対応することも求められます。個人としてもステップアップするつもりです。

タイトルを獲得するためのカギはメンタリティです。自分たちの実力に自信を持ち、チームメートを信頼すること。僕たちは毎日、激しいトレーニングを積んでいるし、チャンピオンになれる力を備えていると信じています。

──最後にファンへのメッセージをお願いします。

家族も含めて、川崎の皆さんには感謝しています。僕がケガをした時、SNSなどを通して多くのメッセージを寄せてくれて、皆さんの愛を感じることができました。皆さんのために、再び戦う機会を得られたことに感謝しています。僕はベストを尽くし、皆さんと一緒にタイトルを取りたいです。再び会えることを楽しみにしています。