ジミー・バトラー

バトラー「サプライズでもなんでもない」

東カンファレンスセミファイナル、バックスvsヒートの第3戦。バックスにリードを許す苦しい展開を強いられたヒートだったが、終盤にディフェンスのギアを上げ、ジミー・バトラーを中心に得点を重ねて逆転に成功。シュートが決まらず脆さを露呈したバックスを尻目に、攻守が噛み合ったヒートは最終クォーターを40-13と圧倒。115-100で3連勝を飾り、シリーズ突破に王手をかけた。

ヤニス・アデトクンボとクリス・ミドルトンの両エースに高確率でシュートを決められ、バックスの守備網をなかなか崩せずにいたヒートは12点のビハインドを背負って最終クォーターを迎えた。それでも、プレーオフに入って無敗のヒートがここから抜群の勝負強さを見せた。

ペイントに侵入されても必ずヘルプがカバーし、ほぼノーマークを作らせないなどチームディフェンスが大いに機能。ドライブ&パスアウトでズレを作り、確実にシュートチャンスをモノにしていく。そして、バトラーがフリースローを沈め、残り6分を切った場面で93-92と逆転に成功した。スティールからのワンマン速攻や、ディフェンスリバウンドでフリースローを獲得するなど、バトラーが止まらない。さらにアデトクンボとの1on1からレイアップを決めた際には「奴じゃ俺を止められない」とベンチへ向かって叫んだ。

そして、残り2分15秒には試合を決定づけるジェイ・クラウダーの3ポイントシュートをお膳立て。最終クォーターだけで17得点を挙げたバトラーを筆頭に、最後まで集中力が切れなかったヒートはラスト約6分間を21-7と圧倒し、逆転勝利を飾った。

バトラーは逆転での勝利を「サプライズでもなんでもない」と言う。「自分たち以外は驚いたのかもしれないけれど、僕たちにとってはサプライズでもなんでもない。ヒートのジャージーを着て、これまでにやってきたことを見ていたら、驚きでもなんでもない。僕たちはあきらめずに戦う。これら2つのことがあれば、いつだって試合に勝つ可能性が出てくると思っている」

ゲームハイの30得点に加え7リバウンド6アシストとマルチな働きを見せたが「自分のプレーは変わっていない」と、チームプレーの延長であることを強調した。「相手の守備体系を見てプレーを決めているつもりだし、正しいプレーを選択できていると思う。シュートだって決められるし、若手もステップアップした。チーム全体で良い守備ができた。これはチームゲーム。僕たちはチームでのバスケットボールをプレーするのが大好きなんだ」

レギュラーシーズンでは最終クォーターに失速し、逆転負けを喫することも多かった。そのため、優勝は無理ではないかとの声も上がっていたが今のヒートにそうした脆さはない。20得点16リバウンド2ブロックと、攻守で強烈な存在感を見せたバム・アデバヨも「僕たちは人々が間違っていることを証明している」と話し、チームに対する絶対的な自信をのぞかせた。

第1シードでプレーオフに臨んだバックスだが、まさかの3連敗で後がなくなった。セミファイナルで3連敗から逆転でシリーズを突破したチームは過去にない。バックスがファイナルに進むには、歴史を塗り替える必要がある。