ラッセル・ウェストブルック

「大義のためにプレーすると思うと気持ちが抑えられない」

NBAは明日(現地時間29日)からのシーズン再開でまとまった。ボイコット問題に揺れた2日間だったが、再開と決まればすぐさま頭を切り替えて試合に集中しなければならない。プレーオフの勝負どころに差し掛かっているチームならなおさらだ。明日、ロケッツはサンダーとの第5戦を戦う。シリーズで2連勝したものの、その後は連敗。クリス・ポールを中心にまとまったサンダーにこそ勢いがある。

それでも、その流れを変えそうなのがラッセル・ウェストブルックの復帰だ。彼はシーズン再開を前に新型コロナウイルスに罹患。その調整の遅れは取り戻せそうだったが、プレーオフ開始直前に右太ももの筋挫傷で戦線離脱を強いられた。それでも今はチーム練習には復帰しており、指揮官のマイク・ダントーニも「今日の練習で問題が出なければ行けると判断するだろう」と語る。

戦線復帰が実現すれば2週間半ぶりの実戦となる。彼は前日練習前に取材に応じ、「日々状態を見ながらだから、その日になってみないと分からないよ」と話したが、モチベーションに満ちているのは明らかだった。これまでのシリーズではベンチで誰よりも大きなアクションで声を張り上げてチームを後押ししていたが、そのエネルギーは本来コート内で出すべきものだ。

「プレーできると思うと興奮するけど、それ以上に大義のためにプレーすると思うと気持ちが抑えられない。僕らはジャージーの背中に、自分の名前と自分たちのメッセージを入れている。それは面白半分でやっているものじゃなく、意味があるんだ。僕はアフリカ系アメリカ人のアスリートとして、この社会で暮らす黒人として、自分の子供から世界中の子供たちまでに注目される存在として行動を起こし、責任を負っていく。そのことに興奮しているんだ。僕にとってそれがコートに戻る一番重要な理由だし、そこに合意や行動が伴わなかったら、僕個人はプレーしなかったと思う」

サンダーにとっては、昨シーズンまでのフランチャイズプレーヤーが相手のキーマンになる。ここまでジェームズ・ハーデンをルグエンツ・ドルトが見事に抑え込み、クリス・ポールの卓越したゲームメークでシェイ・ギルジャス アレクサンダーやデニス・シュルーダーが持ち味を発揮し、0勝2敗からイーブンにまで持ち込んだ。だが、ここからは『ミスター・トリプル・ダブル』ことウェストブルックを止められなければ勝機は見えてこない。

コンディション的には万全ではないとしても、メンタル的に100%以上のパフォーマンスを出してくるであろうウェストブルックにどう対処するか。この2日間は事態の収拾に奔走したクリス・ポールは今度はこちらに集中しなければならない。何とも大変な仕事だが、NBAプレーオフは再開初日から激闘必至だ。