マイケル・ジョーダン

ドック・リバースは選手の行動を支持「君たちの才能は力だ」

バックスの試合ボイコットをきっかけに、8月26日と27日のプレーオフの試合は開催が見送られた。27日には選手会ら関係者が前日に続いて一堂に会して今後について話し合いを行い、シーズン続行という大筋で合意した。

最悪の場合にはシーズンボイコットもあり得る緊迫感の中、選手会とオーナー側を繋いだのは、ホーネッツのオーナーを務めるマイケル・ジョーダンだった。

『ESPN』によれば、ジョーダンは選手会のクリス・ポール会長と協議し、27日に開かれた理事会で意見を語ったという。全30チームの筆頭オーナーの中で唯一の黒人であるジョーダンは、リーグの労働委員会の会長も務めており、選手たちからは現役時代の圧倒的な功績によりリスペクトされている。そのジョーダンは、選手たちが抱えている人種差別に対する心の葛藤を発言する機会を与えるべきと他チームのオーナーが集まる理事会の場で語り、オーナーたちもそれに同意した。

『ESPN』によれば、ジョーダンは「今は口を開くより、耳を傾けるべき時だ」と理事会で発言したという。

またジョーダンは、試合ボイコットという思い切った行動に出た選手たちの行動力を称賛しているとの情報もある。前代未聞のボイコットという決断を下した昨日、スター選手、各チームのコーチ、関係者が集まり、今後について話し合った。その席でクリッパーズ指揮官のドック・リバースは、選手たちに「君たちの才能は力だ」と言い、社会にとって必要な変化を起こすために行使すべきと後押しした。

リバースは選手たちと同様に、もしくはそれ以上に警察官による黒人への暴力に憤っていた。彼の思いは、コメントから十分に伝わってくる。

「拘束され、撃たれ、殺されているのは我々だ。なぜ恐れなければならないのか。我々はこの国を愛しているのに、なぜこの国は我々を愛してくれないのか。この状況を変えなければならないが、抗議デモがあれば暴動と見なされるし、何かあれば銃を持った警官が派遣される。政府は警官の力を抑制すべきだ。すべての警官が悪いわけじゃないのは分かっている。私の父は警官だったからだ。私は悲しい。なぜこれだけ頻繁に自分の肌の色のことを思い知らされなければならないのか」

『バブル』でのシーズン再開後、NBAはコートに『Black Lives Matter』とペイントし、試合前の国歌斉唱の際には片膝をついて抗議の意思を表し、着用するジャージーにも社会正義を訴えるメッセージを加えて発信してきた。それでも警察官による暴力、抗議デモという流れが変わらない以上、彼らはプレーオフという大事な試合を放棄してまで事態の重さを主張しなければならないと考えている。

オーナー、選手会、リーグが今後どういう形で社会正義を訴え、アメリカ政府に変化を求めていくのか。リバースの助言通り、選手たちは強い影響力を最大限に生かし、引き続き世界にメッセージを発信していく。