NBA

上位有利の東カンファレンスに波乱はあるか

NBAはレギュラーシーズン全日程を消化し、現地15日からポストシーズンに入る。今シーズンは特例で西カンファレンスでは8位と9位チームによる『プレーイン』が行われ、トレイルブレイザーズとグリズリーズが激突する。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、NBAは『バブル』と呼ばれるディズニーリゾート内の隔離エリアを舞台とするセントラル開催で行われる。移動がないためスケジュールはいつにも増して厳しい。あっという間に敗者が『バブル』を去ることになる。

バックス(1位)vsマジック(8位)
ヒート(4位)vsペイサーズ(5位)
ラプターズ(2位)vsネッツ(7位)
セルティックス(3位)vsセブンティシクサーズ(6位)

東カンファレンスでは波乱の気配があまり感じられない。下位チームのシクサーズ、ネッツ、マジックは主力に故障者を出しており、バブルでの8試合の出来を見ても上位チームを食うほどの勢いが感じられない。シクサーズはベン・シモンズが離脱した以上、上位進出は難しい。ネッツはレギュラーシーズン最終戦で最高のパフォーマンスを見せたが、それでも死角のないラプターズを脅かせるとは思えない。

注目の対戦となるのはヒートvsペイサーズだが、ペイサーズは『バブル』で大活躍したTJ・ウォーレンが右足の足底筋膜炎で万全ではない。プレーオフには間に合うようだが、どこまでコンディションを戻せるか。彼がジミー・バトラーとのマッチアップで沈黙するようでは勝機は見いだせない。

激戦の西カンファレンスは注目カードが目白押し

レイカーズ(1位)vsブレイザーズorグリズリーズ(プレーイン勝者)
サンダー(4位)vsロケッツ(5位)
クリッパーズ(2位)vsマーベリックス(7位)
ナゲッツ(3位)vsジャズ(6位)

一方で西カンファレンスでは目の離せないカードがファーストラウンドから続く。激戦の西で首位を守り続けたレイカーズは盤石に見え、どちらが勝つにしても満身創痍であろうプレーインの勝者との力の差は明らかだが、シーディングゲームの8試合を通して調整に専念し、プレーオフのテンションで戦っていないこと、特にディフェンスのインテンシティの部分でいきなりスイッチを入れられるかどうか、一抹の不安はある。

勢いのあるサンダーと実績のロケッツは先が読めない。ジェームズ・ハーデンとラッセル・ウェストブルックのデュオを擁するロケッツが総合力でサンダーを上回るかに思えたが、この勝負どころを前にウェストブルックが離脱。数試合の欠場で戻って来る見込みだが、長くプレーした古巣に対して彼がどんなパフォーマンスを見せるか。またサンダーでは、ロケッツで不要と切り捨てられたクリス・ポールが完全復活。いろいろな因縁が詰まった対決からは目が離せない。

優勝候補の一角であるクリッパーズに挑むのは、若きスーパースター、ルカ・ドンチッチを擁するマブス。チームの総合力ではクリッパーズが上だが、シーズン再開後も絶好調のドンチッチは自信を持ってこのシリーズに挑むはずだ。レブロン・ジェームズとステフ・カリーの後、誰がNBAの『顔』となるか。ヤニス・アデトクンボとカワイ・レナードが有力候補だが、ドンチッチにはここに割って入るだけのポテンシャルが十分にある。今こそ、名実ともにリーグトップのタレントの仲間入りを果たすチャンスだ。

ナゲッツはレブロンやカワイ、アデトクンボほどのビッグネームは不在だが、優勝を狙えるだけの完成度を誇る。シーズン再開時点ではケガ人が多くまともに機能しなかったが、ジャマール・マレーの完全復活でチームは勢いを取り戻した。ハンドラーもこなすビッグマンのニコラ・ヨキッチを中心に、攻守両面でレベルの高さが光る。また『バブル』では2年目のマイケル・ポーターJr.が大ブレイク。ヨキッチ、マレー、ポーターJr.の連係はすでに抜群で、『ビッグ3』と呼ばれるために足りないのはポストシーズンでの結果だけだ。一方でコロナ禍の直撃を受けたジャズではドノバン・ミッチェルが精神的に一皮むけて、チームリーダーとしての存在感を発揮しつつある。エースの成長がチームをもう一つ上のレベルへと引き上げるかどうか、その戦いぶりに注目だ。