パトリック・べバリー

「早く優勝して友達がいる地元に帰りたい」

クリッパーズのパトリック・ベバリーは、先月末にオーランドの『バブル』から離れる許可を得てチームと別行動を取っていたが、その理由は殺害された地元の親友の葬儀に参列するためだったという。

『ESPN』とのインタビューに応じたべバリーは、高校時代に一緒に生活していたこともあった親友との悲しい別れについて語り始めた。「彼は7月に31歳になったばかりだったのに、誕生日の数日後に亡くなった。彼が殺害されたのは、一緒につるんでいた地元の公園だったんだ」

「練習に向かうバスの中で涙が止まらなかった。チームメートと一緒にいられるのは幸運なことだよ。ただ今回の件があったから、少しでも早く優勝して友達がいる地元に帰りたいという気持ちになった」

「大切な人を失うのはもうたくさんだ。本当につらい。現実の世界に戻ったら大変なことと向き合わないといけないけれど、それまではここでチームメートを助けて、リーダーにならないといけない。そしてシカゴの仲間のためにも、自分がリーダーにならないといけない」

シカゴでは銃を所持した男性が警官に発砲し、警官がこれに応戦して発砲した事案が誤った情報とともに拡散されたことをきっかけに、大規模な略奪に悪化したと報じられている。地元を愛するベバリーは「今は安全じゃない。でも地元にはNBAを目指す子供たち、第二のパトリック・ベバリーを目指す子供たちだっている。自分はやるべきことに集中して、子供たちに良い影響を与えたい」と言う。

「自分に近しい人を失うのはつらい。このバブルで自分のゲーム、プレーは自分のためだけではなくて、地元の子供たちにとっても重要なものになる。僕は違いを生み出したいし、みんなが危険と隣り合わせの状況から抜け出せるようにしたい」

オーランドの『バブル』は、選手やコーチ、関係者を新型コロナウイルス感染から守るために用意された環境だが、ベバリーはバスケットボールにだけ集中し、親友の死については考えないようにしていると話す。

「重犯罪で友達を失うなんて不幸なこと。ただ、このバブルという環境のおかげで、現実から遠ざかることができている。情熱、それから痛みをバスケットボールに込めてプレーしているよ」

これまでも対戦相手にとって厄介なディフェンスやスタッツには反映されなくてもチームの勝利に直結するプレーで評価の高いベバリーは、クリッパーズにとってカワイ・レナードとポール・ジョージのダブルエースと同様に、プレーオフで欠かせない戦力の一人だ。亡き親友、地元の子供たちのためにプレーする今の彼は、これまで以上に大きなものを背負い、優勝に向けて邁進する。