アメリカ代表

「選手選考は少々トリッキーなものになる」

スパーズの指揮官、グレッグ・ポポヴィッチは71歳。新型コロナウイルスのパンデミックに際しては、重篤化リスクの高い高齢者として見なされる。参加は見合わせるべきではないか、との意見もあったが、彼はマスク姿でオーランドの『バブル』に入った。

「事前にNBAコミッショナーのアダム・シルバーを始め多くの人から話を聞いていたが、実際にその通りだ。あらゆる観点から、これほど安全な場所はないと感じている。感染者が増え続けているテキサスにいるよりも安全だよ。あらゆる予防措置を講じてシーズンを再開させることになった。ファンは試合の勝ち負け、プレーの興奮を楽しむだろうが、リーグが伝えたい公平性というメッセージも発信できる」と彼は語る。スパーズは昨日、『バブル』で初の練習を行った。

彼はスパーズのヘッドコーチであると同時に、アメリカ男子代表の指揮官でもある。2021年に延期されたオリンピックについては「開催できる可能性はある。ワクチンや他の治療法がそれまでに開発されていることを願うよ」とコメントしている。

もっとも、新型コロナウイルスの影響で今シーズン終了が9月になり、来シーズンは12月の開幕になる予定。スケジュールははっきりしていないが、2021年7月23日のオリンピック開幕直前までシーズンは続くことになりそうだ。NBAスター選手の大会参加は非常に厳しいと言わざるを得ない。

ポポヴィッチは「選手選考は少々トリッキーなものになる。我々が望む選手のいくらかは呼べるだろうが、シーズン終了からオリンピックまでの期間が短いことで難しくなるだろう。できることなら欲しい選手全員を招集したいが、それには相当な幸運が必要になりそうだ」

NBAファイナル、あるいはカンファレンス・ファイナルに進んだチームの選手をオリンピックに参加させるのは難しいかもしれない。しかも、プレーオフの様子を見ながら代表選手の決定を遅らせれば、代表チームとしてケミストリーを作る時間が削られる。軸となる選手が大会直前まで決まらないとなれば、成熟したチームは望めない。

昨年のワールドカップでは辞退する選手が続出。世界最強であるはずのチームUSAは未完成のまま大会に乗り込み、結果として早期敗退を強いられた。そのリベンジの意味で東京オリンピックには文字通りの『ドリームチーム』が集結するはずだったが、雲行きは怪しい。ポポヴィッチにとってはスパーズでの指揮はもちろん、こちらの舵取りでも頭を悩ませることになりそうだ。